2023年03月25日

 更新していなかった、研究業績などを更新しました。

 名古屋大学を定年退職し、早稲田大学理工学研究院に移っておおよそ1年になりました。研究環境抜群で、共同研究者にも恵まれ、また雑務からほぼ解放され、研究三昧の生活をしています。論文も、これまでと同じぐらいのペースで書いています。
 東北地方や、東海地方、関西地方にも実験などで良く出張に行っています。ほぼ毎日、プールで泳いでおり、休みの日には、湘南や千葉で波乗りを楽しんでいます。東京方面に来られることがあれば、ぜひご連絡ください。

2022年03月31日

 山本教授は名古屋大学を定年退職しました。

 山本教授からのコメントです
「みなさん、お世話になり、ありがとうございました。多くの研究成果を上げることができ、充実した教育研究生活を送れたのは、研究室の皆様のおかげです。こころから感謝しています。」
「4月1日からは、早稲田大学 理工学術院 に上級研究員(研究院教授)として勤めています。 結構、暇にしていますので、また東京に来られたときは、ぜひご連絡ください。おいしいものでも食べに行きましょう。」

早稲田大学の勤め先:
住所:〒169-8555 東京都新宿区大久保3-4-1
早稲田大学 理工学術院 63号館05-15
https://www.waseda.jp/fsci/access/
メール:
これまでの でもOKです。

早稲田大学の勤め先建屋:新しいです。

2022年03月03日

 山本教授の最終講義(名古屋大学での研究成果総会:放射線照射による水の発光現象の発見を中心に:ノーベル賞候補を目指して)が行われました。

 以下、山本教授のコメントです。
「最終講義に、多くの先生方や学生さんに来て頂き、本当にありがとうございました。
名古屋大学総長の松尾先生にも来ていただき、ご挨拶などを頂きました。大変ありがとうございました。」

最終講義の時の写真

2022年02月02日

 がん治療に用いるホウ素中性子捕捉療法(BNCT) 装置 からの中性子照射による発光を検出することで、中性子分布イメージングを実現しました。本研究は、医学物理学のトップジャーナルの一つであるMedical Physicsにアクセプトされ、掲載されました。
超短時間で、中性子分布計測を実現できる画期的成果です。

本研究成果は、名古屋大学広報からプレス発表されました。

https://www.nagoya-u.ac.jp/about-nu/public-relations/researchinfo/upload_images/20220107_med.pdf

測定の模式図:上面図(左)、正面図(中) と得られた中性子分布(右)

 なお、本研究は、関西BNCT共同医療センター、京都大学との共同研究として行われました。

・Optical imaging of lithium-containing zinc sulfate plate in water during irradiation of neutrons from boron neutron capture therapy (BNCT) system, Medical Physics, in-press

https://aapm.onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1002/mp.15424

2022年02月02日

 博士前期課程2年の永田さんが筆頭著者の論文“Development of a simultaneous imaging system to measure the optical and gamma ray images of Ir-192 source for high-dose-rate brachytherapy”が、Journal of Instrumentation誌に掲載されました。おめでとうございます。
この開発により、Ir-192ガンマ線源と光学画像の同時測定が、世界で初めて可能になりました。
なお、本研究は名古屋大学病院、東北大学吉川研究室との共同で行われました。

開発したIr-192ガンマ線と光学画像との同時測定装置の模式図(上)と得られた同時測定画像(下)

・J. Nagata, S. Yamamoto, Y. Noguchi, T. Nakaya, K. Okudaira, K. Kamada, A. Yoshikawa, Development of a simultaneous imaging system to measure the optical and gamma ray images of Ir-192 source for high-dose-rate brachytherapy, Journal of Instrumentation, 16, T12005, 2021

https://iopscience.iop.org/article/10.1088/1748-0221/16/12/T12005/meta

2021年11月02日

 ミュオンビームを空気中に配置したZnS(Ag)板に照射し、吸収体の深さを変えながら測定した画像から、ミュオンビームの3次元画像化に成功しました。本研究成果「Three dimensional (3D) optical imaging system of muon beams using a ZnS(Ag) sheet combined with a mirror」が「IEEE Transactions on Nuclear Science」誌にアクセプトされました。
 本研究は大阪大学大学院理学研究科、高エネルギー加速器研究機構(KEK)と共同で、KEKの高輝度ミュオンビーム施設(MUSE)のビームを用いて行われました。

測定の模式図:上面図(左)と正面図(右)

ZnS(Ag)の発光画像から得られたミュオンビームの三次元画像

・S. Yamamoto, K. Ninomiya, N. Kawamura, Y. Hirano,, Three dimensional (3D) optical imaging system of muon beams using a silver activated zinc sulfide (ZnS(Ag)) sheet combined with a mirror, IEEE Transactions on Nuclear Science, in-press

10.1109/TNS.2021.3123164

2021年11月02日

 ミュオンビームを水に浸けたプラスチックシンチレータ板に照射し、ビームに垂直方向に移動しながら測定した画像から、ミュオンビームの3次元画像化に成功しました。本研究成果「Three-dimensional (3D) optical imaging of muon beam using a plastic scintillator plate in water」が「Nuclear Instruments and Methods in Physics Research A」誌に掲載されました。
 本研究は大阪大学大学院理学研究科、高エネルギー加速器研究機構(KEK)と共同で、KEKの高輝度ミュオンビーム施設(MUSE)のビームを用いて行われました。

測定の模式図:側面図(左)と正面図(右)

プラスチックシンチレータ板にミュオンビームを照射し、
ビームに垂直方向に移動しながら測定した画像から、
再構成して作成したミュオンビームの3次元画像

・S. Yamamoto, K. Ninomiya, N. Kawamura, T. Yabe, Y. Hirano, Three-dimensional (3D) optical imaging of muon beam using a plastic scintillator plate in water, Nuclear Instruments and Methods in Physics Research A, 1015, 165768, 2021

https://doi.org/10.1016/j.nima.2021.165768

2021年11月02日

 国際会議:IEEE Nuclear Science Symposium (NSS) and Medical Imaging Conference(MIC)で、山本研究室から、口頭発表5演題を含む合計19演題(共同研究施設の発表を含めると23演題)を発表しました。学生さんは、博士課程の矢部さんが2演題、中西さんが2演題、修士課程の永田さんが2演題、喜多野さんが1演題発表しました。
 今回はオンライン開催で、日本時間では深夜の時間帯の発表も多く大変でしたが、無事に発表を終えることができました。口頭発表のセッションの様子はビデオで公開されています。

山本教授のIEEE MICでのオンラインでの口頭発表の様子

2021年11月02日

 修士2年の永田さんがIEEE Medical Imaging Conferenceの口頭発表のセッションで「Development of a simultaneous imaging system to measure the optical and gamma ray images of Ir-192 source for high-dose-rate brachytherapy」というタイトルで発表を行いました。後日、座長のProfessor Watabeからお褒めの言葉を頂きました。

修士2年:永田さんのIEEE MICでのオンラインでの口頭発表の様子

2021年08月10日

修士2年の喜多野さんが第一著者の論文、「Imaging and range estimations of prompt X-rays using YAP(Ce) camera during particle-ion irradiation to non-uniform phantoms」が「Journal of Instrumentation」誌にアクセプトされました。おめでとうございます。
粒子線照射時に発生する制動X線(即発X線)をピンホールX線カメラで画像化する手法は、照射中に実時間で粒子線の画像が得られ、飛程を求めることができる方法として注目されています。しかし、これまで即発X線画像は、主に均一な被検体に対してしか画像が測定されていませんでした。今回、穴の開いた不均一な被検体対して、陽子線と炭素線照射を行い、照射中の即発X線の画像化を行いました。その結果、画像上に穴の位置に対応して輝度の低い部分が撮像でき、また空洞により飛程が長くなることも確認されました。

2cm直径の空洞を有するアクリルファントムの模式図(左)、
陽子線照射時の即発X線画像(中)と炭素線照射時の即発X線画像(右)
:空洞に対応した部分が見える。

本研究は、名古屋陽子線治療センター,QST,並びに兵庫粒子線医療センターと共同で行われました。

M. Kitano, S. Yamamoto, T. Yabe, T. Akagi, T. Toshito, M. Yamaguchi, and N. Kawachi, Imaging and range estimations of prompt X-rays using YAP(Ce) camera during particle-ion irradiation to non-uniform phantoms, Journal of Instrumentation, in-press

2021年08月10日

コリメータでビームの径を変えたミュオンとミュオンビームをプラスチックシンチレータと水に照射し、ミュオンとミュオンが崩壊してできるポジトロンの画像化に成功しました。本研究成果「Optical imaging of decayed positrons and muons with different collimators」が「Journal of Instrumentation」誌にアクセプトされました。
放射線照射時に水やアクリルが発光することが山本研究室で発見され、多くの種類の放射線に対して、これまで画像化実験が行われてきました。この技術を素粒子であるミュオンに応用し、今回径の異なるビームを照射し、鮮明な画像を得ることに世界で初めて成功しました。簡便なビームの幅などを評価に応用できます。本研究は、大阪大学並びにKEKと共同で行われました。

コリメータでビーム径を変えたミュオンビームをプラスチックシンチレータブロックに
照射したときの発光画像

コリメータでビーム径を変えたミュオンが崩壊してできるポジトロンの
チェレンコフ光画像

S. Yamamoto, K. Ninomiya, N. Kawamura, Y. Hirano, Optical imaging of decayed positrons and muons with different collimators, Journal of Instrumentation, in-press

2021年08月10日

博士3年の矢部さんが第一著者の論文、「First measured optical image of Cerenkov-light in water during irradiation of neutron beam from boron neutron capture therapy (BNCT) system」が「Radiation Measurements」誌にアクセプトされ出版されました。おめでとうございます。
放射線照射時に水やアクリルが発光することが山本研究室で発見されました。この技術を、これまで行われていなかった中性子に応用し、ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)装置からの中性子を水に照射したときに発生するガンマ線によるチェレンコフ光の画像を得ることに世界で初めて成功しました。この手法はBNCTにおけるガンマ線分布計測などへの応用などが期待されます。
本研究は、関西BNCTセンター並びに京都大学との共同研究として行われました。

計測したBNCT装置からの中性子線を水に照射で生じたガンマ線による
チェレンコフ光分布

T. Yabe, S. Yamamoto, N. Hu , Y. Kanai, H. Tanaka, K. Ono, First measured optical image of Cerenkov-light in water during irradiation  of neutron beam from boron neutron capture therapy (BNCT) system, Radiation Measurements 146, 106633, 2021
https://doi.org/10.1016/j.radmeas.2021.106633

2021年08月10日

博士3年の中西さんが第一著者の論文、「Comparison of the distributions of bremsstrahlung X-rays, Cerenkov light, and annihilation radiations for positron emitters」と「Monte Carlo study of a small field of view YAlO3:Ce pinhole camera for imaging with Rb-82 by detection of bremsstrahlung X-rays」が「Applied Radiation and Isotopes」誌と「Journal of Instrumentation」にそれぞれアクセプトされ出版されました。おめでとうございます。
ポジトロン放出核種のイメージング方法としては、消滅放射線を同時計数するPETを用いるのが一般的ですが、ポジトロンにより物質中で発生するチェレンコフ光や、制動X線を計測することで画像化することも可能です。消滅放射線はポジトロンの飛程の最後で発生するのに比してチェレンコフ光や制動X線は、ポジトロンがエネルギーを失う過程の比較的高いエネルギーで発生することから、PETに比べ高空間分解能の画像が得られる可能性があります。そこでモンテカルロシミュレーションで、これら3種のイメージング手法の空間分解能を評価しました。
その結果、Cu-62やRb-82などのエネルギーの高いポジトロン核種では、PETで測定する消滅ガンマ線の広がりが、チェレンコフ光や制動X線に比べ、1/10幅(FWTM)で2倍以上に広がることが明らかになりました。Rb-82を用いた小動物の制動X線画像化も高分解能を達成する一つ方法であることも示しました。

K. Nakanishi and S. Yamamoto, Comparison of the distributions of bremsstrahlung X-rays, Cerenkov light, and annihilation radiations for positron emitters, Applied Radiation and Isotopes 176, 109861, 2021
https://doi.org/10.1016/j.apradiso.2021.109861
K. Nakanishi and S. Yamamoto, Monte Carlo study of a small field of view YAlO3:Ce pinhole camera for imaging with Rb-82 by detection of bremsstrahlung X-rays, JINST 16 T08005, Journal of Instrumentation, 2021
https://doi.org/10.1088/1748-0221/16/08/T08005

2021年08月10日

Journal of Applied Clinical Medical Physics誌に出版された論文 「Increase in the intensity of an optical signal with fluorescein during proton and carbon-ion irradiation」https://doi.org/10.1002/acm2.13309のビデオアブストラクトが、以下のYou Tubeで紹介されています。

https://youtu.be/Gy77iWxX1R4

2021年05月25日

がん治療に用いる陽子線を、穴の開いたアクリルブロックに照射したときに生じる発光画像撮像することで、不均一な物質に対する線量分布の短時間測定に成功しました。
これまで測定が困難であった不均一な物質に対する陽子線ビームの線量分布を、わずか数分で画像化できることを示した世界初の成果です。この研究成果は、Journal of Instrumentation誌にアクセプトされました。
なお本研究は、兵庫県立粒子線医療センターと共同で行われました。

研究室の装置で得られた不均一ファントム画像:空気ではビームが伸びて、チタン棒ではビームが凹んでいる実測画像が明瞭に得られました。

Seiichi Yamamoto, Takuya Yabe and Takashi Akagi, Luminescence imaging of non-uniform phantoms during irradiation with protons, Journal of Instrumentation, in-press

2021年05月25日

山本教授が、東北大学金属材料研究所の招聘教授(兼務)に就任しました。これまでも東北大学金属材料研究所、吉川研究室の開発したシンチレータの性能評価やそれらを用いた新しい医療機器開発を行い、多くの研究成果を共同発表してきました。今回、山本教授が、東北大学金属材料研究所の招聘教授に就任したことで、吉川研究室との共同研究を、今まで以上に強力に進めていきます。

2021年05月25日

山本研究室の装置で測定したミュオンビーム画像と研究内容が、フランスの一般向け科学雑誌である、「Science&Vie」で取り上げられました。「Science&Vie」はフランスで最も古く、最も有名な科学雑誌です。


フランスの科学雑誌「Science&Vie」に掲載されたミュオンビームの画像(上)と雑誌の表紙(下)

2021年05月25日

がん治療に用いる陽子線 を1㎜ミリメートルのスリット状にしたビーム(ミニビーム)をアクリルブロックに照射したときに生じる発光 を利用し、そのビームの形状を高分解能でかつ短時間で撮像することに成功しました。
これまで短時間測定が困難であった陽子線ミニビームの線量分布を、わずか数分で画像化できることを示した世界初の成果です。この研究成果は、医学物理学のトップジャーナルの一つであるPhysics in Medicine and Biology誌にオンライン掲載されました。また名大広報からプレス発表されました。
https://www.nagoya-u.ac.jp/about-nu/public-relations/researchinfo/upload_images/20210524_med.pdf
なお本研究は、兵庫県立粒子線医療センターと共同で行われました。

研究室の装置で得られたミニビーム画像:上の方ではスリット状で、ビームの終端では均一なミニビームの分布が得られました。

Seiichi Yamamoto, Takuya Yabe and Takashi Akagi, Possibility evaluation of the optical imaging of proton mini-beams, Physics in Medicine and Biology, in-press
https://iopscience.iop.org/article/10.1088/1361-6560/ac02d7

2021年05月25日

フルオレセイン溶液を用いることにより、陽子線と炭素線による水の発光を10倍以上に増加させることができることを発見し、Journal of Applied Clinical Medical Physics(JACMP)誌にアクセプトされ、間もなくパブリッシュされます。
山本研究室では、これまでに放射線を水に照射することで微弱光が発生することを発見し、この光を高感度カメラで撮像することで放射線の線量分布を画像化することに成功していました。しかし、放射線照射による水の発光は、発光量が小さいという問題がありました。今回、フルオレセイン溶液を用いることにより、発光量を大幅に増加でき、さらに即発ガンマ線によるチェレンコフ光の影響も減少できることも分かりました。今後、線量分布計測への応用が期待されます。
本研究は、兵庫県立粒子線医療センターと共同で行われました。

フルオレセイン溶液による水の発光の増加:水の発光(左図)がフルオレセインを加えることで10倍以上に発光が増加した(右図)

Seiichi Yamamoto, Takuya Yabe, Takashi Akagi, Increase in the intensity of an optical signal with fluorescein during proton and carbon-ion irradiation, Journal of Applied Clinical Medical Physics (JACMP), in-press
https://aapm.onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/acm2.13309.

2021年05月25日

くさび形のアクリルブロックを用いて、一回の粒子線照射で、ビームの深度線量分布を測定する方法を考案し、実測に成功しました。粒子線ビームでは、その深さ方向のプロファイルである深度線量分布を測定することが、飛程の確認などのために重要です。しかし電離箱を用いた方法は、測定に手間と時間がかかるという問題がありました。
この問題点を解決するために、くさび形のアクリルブロックを用い、一回の粒子線照射で、ビームの深度線量分布を測定する方法を考案し、実測に成功しました。図左に示すように均一なビームをくさび形のアクリルに当てると、場所によりビームの吸収が異なった状態になり、その下の配置したZnS(Ag)シンチレータでビームによる発光が起こります。この発光が画像をCCDカメラで撮像することで、深度線量分布を測定することに成功しました(図右)。
この研究成果はJournal of Instrumentation誌にアクセプトされ、間もなくパブリッシュされます。

くさび形のアクリルブロックを用いて一回の粒子線照射で、ビームの深度線量分布を測定する方法の模式図(左)と深度線量分布 (右)

Seiichi Yamamoto, Takuya Yabe, Takashi Akagi, Feasibility study of an efficient method to measure depth profile of particle ions using a wedge-shaped acrylic block, Journal of Instrumentation, in-press

2021年05月25日

GGAGシンチレータがα線と、γ線あるいはβ線に対して、発光減衰時間が異なる性質を有することを利用し、α線と、γ線あるいはβ線を同時に分離して画像化できるイメージング装置の開発に成功しました。この成果はJournal of Instrumentation誌にアクセプトされ、間もなくパブリッシュされます。
アスタチンなどを用いたα線内用療法の研究では、小動物などの切片中のα線放出核種の分布を知ることが重要です。しかし、α線と、γ線あるいはβ線を同時に分離して画像化できるイメージング装置はこれまでありませんでした。山本研究室ではこれまでに、GGAGシンチレータがα線と、γ線あるいはβ線では発光減衰時間が異なる性質を有することを明らかにしていました。今回この性質を用い、α線と、γ線あるいはβ線を同時に分離して画像化できるイメージング装置を開発しました。実際に、アスタチンやラドン娘核種を用いて、α線と、γ線あるいはβ線を同時に分離して画像化することに成功しました。
なお本研究は、大阪大学と共同で行われました。

α線と、γ線あるいはβ線を同時に分離して画像化できるイメージング装置の模式図(左)と装置の写真(右)

Seiichi Yamamoto, Tadashi Watabe, Kazuko Kaneda-Nakashima, Yoshifumi Shirakami, Kazuhiro Ooe, Atsushi Toyoshima, Takahiro Teramoto, Atsushi Shinohara, Jun Hatazawa, Development of GGAG alpha camera system for targeted alpha radionuclide therapy research, Journal of Instrumentation, in-press

2021年03月26日

修了式、卒業式が行われました。修士2年の豊永さん、4年の王さん、伊藤さん、稲野君、茗荷さんが無事に修了、卒業しました。おめでとうございます。また訪ねてきてください。

2021年03月01日

博士前期課程(修士)2年の豊永さんが筆頭著者の論文“A method to reduce the error due to the angular dependencies of Cerenkov-light in water for optical imaging of X-rays from high-energy medical linear accelerators (LINAC)”が、Journal of Instrumentation誌にアクセプトされました。おめでとうございます。
リニアックX線のチェレンコフ光イメージングに関する研究で、チェレンコフ光と線量分布との違いを、撮像する角度を変えることで補正するという内容です。チェレンコフ光が前方方向に多く放射される性質を利用して、10度前方から撮像することで線量分布に近い分布を得ることができました(下図)。この研究は名古屋大学病院と共同で行われました。

C. Toyonaga, S. Yamamoto, Y. Hirano, K. Okudaira, T. Kato, K. Sugita, A method to reduce the error due to the angular dependencies of Cerenkov-light in water for optical imaging of X-rays from high-energy medical linear accelerators (LINAC), Journal of Instrumentation, in-press

2020年12月22日

博士前期課程1年の永田さんが筆頭著者の論文“Development of a low-sensitivity high resolution YAP(Ce) scintillation camera system toward the real-time imaging of an 192Ir source during high-dose-rate brachytherapy”が、Journal of Instrumentation誌に掲載されました。
おめでとうございます。本研究は名古屋大学病院、東北大学吉川研究室との共同で行われました。
これまで、子宮がんなどの内照射放射線治療に使うにイリジウム(Ir-192 )の体外からの画像化は、線源の放射能が数100GBqと高いため、検出器が飽和することから、高分解能での画像化は困難でした。本研究では、比較的密度が低く厚さの薄い(1㎜)YAP(Ce)シンチレータを用い、感度を落としたピンホールガンマカメラを開発し、Ir-192線源の高分解能リアルタイム画像化に成功しました(下図)。将来、製品化を進めることで、内照射放射線治療の安全性向上への貢献が期待されます。

J. Nagata, S. Yamamoto, Y. Noguchi, T. Nakaya, K. Okudaira, K. Kamada and A. Yoshikawa, Development of a low-sensitivity high resolution YAP(Ce) scintillation camera system toward the real-time imaging of an 192Ir source during high-dose-rate brachytherapy, Journal of Instrumentation, 15 P12018, 2020

https://iopscience.iop.org/article/10.1088/1748-0221/15/12/P12018
2020年12月22日

1㎜直径の光ファイバーに穴を開け、その中にZnS(Ag)を塗布した構成のα線検出器の開発に成功し、Applied Radiation and Isotopes誌に発表しました(下図)。
α線内用療法の定量化などに期待されます。この研究は放射線医学研究センター(NIRS, QST)の青木先生、東先生と共同で行われました。

S. Yamamoto, I. Aoki, T. Higashi, Optical fiber-based ZnS (Ag) detector for selectively detecting alpha particles, Applied Radiation and Isotopes, 109495, in-press
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0969804320306370

2020年12月22日

偏光現象を利用し、粒子線照射による水の発光画像からチェレンコフ光の分離に成功し、医学物理分野のトップジャーナルの一つである、Medical Physics誌に発表しました。
粒子線がん治療の線量評価などへの応用に期待されます。またまた名古屋大学広報からプレス発表されました。詳細は以下のプレス発表記事をご覧ください。

http://www.nagoya-u.ac.jp/about-nu/public-relations/researchinfo/upload_images/20201203_med1.pdf

本研究は、兵庫県立粒子線医療センターと共同で行われました。

S. Yamamoto, T. Yabe, T. Akagi, Y. Hirano, Imaging of polarized components of Cerenkov‐light and luminescence of water during carbon ion irradiation, Medical Physics, in-press
https://aapm.onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/mp.14600

2020年12月22日

発光計測を用いたミュオンビームのイメージングに成功し、その成果をScientific Report誌に発表しました。
ミュオンのビームの精度管理や素粒子研究、さらには将来的にミュオンビームを用いた放射線治療への応用が期待されます。また名古屋大学広報からプレス発表されました。詳細は以下のプレス発表記事をご覧ください。

http://www.nagoya-u.ac.jp/about-nu/public-relations/researchinfo/upload_images/20201130_med1.pdf

本研究は大阪大学大学院理学研究科、高エネルギー加速器研究機構(KEK)と共同で、KEKの高輝度ミュオンビーム施設(MUSE)のビームを用いて行われました。

S. Yamamoto, K. Ninomiya, N. Kawamura, Y Hirano, Optical imaging of muons, Scientific Reports 10 (1), 1-11, 2020
https://www.nature.com/articles/s41598-020-76652-8

2020年12月22日

ZnS (Ag) シンチレータが、α線にのみ発光が大きく発光減衰が長く、β線やγ線に対する発光が極めて小さく発光減衰も短いことを発見し(下図)、Applied Radiation and Isotopes誌に発表しました。
この研究は名古屋大学工学系研究科の富田先生との共同研究成果です。

S. Yamamoto, H. Tomita, Comparison of light outputs, decay times, and imaging performance of a ZnS (Ag) scintillator for alpha particles, beta particles, and gamma photons, Applied Radiation and Isotopes, 109527, 2020
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0969804320306680?via%3Dihub

2020年12月22日
博士後期課程2年の中西君が筆頭著者の論文“Development of high‐resolution YAP (Ce) X-ray camera for the imaging of astatin-211 (At-211) in small animals”が、医学物理のトップジャーナルの一つであるMedical Physics誌に掲載されました。
おめでとうございます。また名古屋大学広報からプレス発表されました。詳細は以下のプレス発表記事をご覧ください。
http://www.nagoya-u.ac.jp/about-nu/public-relations/researchinfo/upload_images/20200917_med1.pdf

本研究は大阪大学大学院医学系研究科:渡部先生、大阪大学放射線化学基盤機構、東北大学:吉川研究室との共同で行われました。

K. Nakanishi, S. Yamamoto, T. Watabe, K. Kaneda-Nakashima, Y. Shirakami, et al., Development of high‐resolution YAP (Ce) X‐ray camera for the imaging of astatin-211 (At-211) in small animals, Medical Physics 47 (11), 5739-5748, 2020

https://aapm.onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1002/mp.14455
2020年12月22日

博士後期課程2年の中西君が筆頭著者の論文、“Performance evaluation of YAlO3 scintillator plates with different Ce concentrations”が、Applied Radiation and Isotopes誌に掲載されました。
おめでとうございます。
3種のセリウム濃度の異なるYAP(Ce)シンチレータの性能を比較し、Ce濃度の高いシンチレータが最も発光が大きく、発光減衰時間も短いことを明らかにしました(下図)。

本研究は東北大学、吉川研究室との共同研究で行われました。
K. Nakanishi, S. Yamamoto, K. Kamada, A. Yoshikawa, Performance evaluation of YAlO3 scintillator plates with different Ce concentrations, Applied Radiation and Isotopes, 109483(in-press), 2020
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0969804320306266

2020年12月22日

山本教授が、放射線照射による水の発光に関する総説を日本医学物理学会の英文誌である、Radiological Physics and Technologyに発表しました。
これまでの放射線照射による水の発光に関する研究成果がまとめてあります。ぜひお読み下さい。

S. Yamamoto, Discovery of the luminescence of water during irradiation of radiation at a lower energy than the Cherenkov light threshold, Radiological Physics and Technology, October 1-9, 2020
https://link.springer.com/article/10.1007%2Fs12194-020-00588-x

2020年12月22日
α線を酸化チタン(TiO2)ナノ粒子に照射することで、ラジカルが発生することを、発見しました。α線核医学治療への応用などに期待されます。本研究成果は米国生物医学光学専門誌であるJournal of Biomedical Optics誌に掲載されました。また名古屋大学広報からプレス発表されました。詳細は以下のプレス発表記事をご覧ください。
http://www.nagoya-u.ac.jp/about-nu/public-relations/researchinfo/upload_images/20201001_med1.pdf

S. Yamamoto, Detection of luminescence of radicals from TiO2 plate during alpha particle irradiation, Journal of Biomedical Optics 25 (9), 096008(9pp), 2020
https://doi.org/10.1117/1.JBO.25.9.096008/

2020年12月22日

博士後期課程2年の矢部君が筆頭著者の論文、“Prediction of dose distribution from luminescence image of water using a deep convolutional neural network for particle therapy” 医学物理学のトップジャーナルの一つであるMedical Physics誌に掲載されました。
おめでとうございます。
深層学習を用い、粒子線照射による水の発光画像から正確な線量画像の生成に成功した内容で、粒子線がん治療への応用に期待されます。また名古屋大学広報からプレス発表されました。詳細は以下のプレス発表記事をご覧ください。
http://www.nagoya-u.ac.jp/about-nu/public-relations/researchinfo/upload_images/20200716_med1.pdf

本研究は、名古屋大学大学院情報科学研究科、兵庫県立粒子線医療センターとの国際共同研究で行われました。

T. Yabe, S. Yamamoto, M. Oda, K. Mori, T. Toshito, T. Akagi, “Prediction of dose distribution from luminescence image of water using a deep convolutional neural network for particle therapy”, Medical Physics, Vol.47, No.9, pp.3882-3891, 2020
https://doi.org/10.1002/mp.14372

2020年06月05日

深層学習を用い、粒子線照射即発X線実測データから正確な線量画像を生成することに成功しました。本研究成果はMedical Physics誌に掲載されました。また名古屋大学広報からプレス発表されました。
http://www.nagoya-u.ac.jp/about-nu/public-relations/researchinfo/upload_images/20200604_med2.pdf
患者に入射した粒子線がん治療ビームの飛跡を治療中にモニタリングすることは、ビームが患者の腫瘍に正しく照射されていることを確認するために切望されています。これまでに私たちの研究グループが開発してきた放射線画像化装置を用いた即発X線撮像法は、たんそ粒子線の飛跡を画像化できる画期的な手法ですが、得られた画像は実際の線量画像と一致しないという問題点がありました。この問題点を解決するために、深層学習を用いて、ビームの飛跡から正確な線量画像を生成することを試みました(下の図)。

即発X線測定画像から高分解能な線量画像を生成する深層学習アーキテクチャ

その結果、実験画像から鮮明な線量画像を得ることに成功しました(下の図)。今回の成果は、即発X線画像化法に深層学習を組み合わせることにより、飛程のみならず線量分布を得ることが可能であることを示しました。なお、本研究は、名古屋大学、QST、UC Davis、国立台湾大学、兵庫県立粒子線医療センターとの国際共同研究で行われました。

即発X線測定画像(左)が深層学習を用いて線量画像(右)に変換された。

Mitsutaka Yamaguchi, Chih-Chieh Liu, Hsuan‐Ming Huang, Takuya Yabe, Takashi Akagi, Naoki Kawachi, Seiichi Yamamoto, Dose image prediction for range and width verifications from carbon‐ion induced secondary electron bremsstrahlung X‐rays using deep learning workflow, Medical Physics (in-press)
https://aapm.onlinelibrary.wiley.com/doi/epdf/10.1002/mp.14205

2020年06月05日

ファイバーシンチレータとテーバー型ファイバープレートを組み合わせ、超高分解能α線イメージング装置を開発し、シンチレータ中を走行するα線の飛跡のリアルタイム画像化に成功しました。本研究成果はRadiation Measurements誌に掲載されました。
これまで、東北大学で開発された1㎛径のファイバーシンチレータとテーパー型ファイバープレート、高感度CCDカメラを組み合わせて、ベータ線の飛跡をリアルタイムで画像化することに成功していました(Yamamoto et al, Rep. 2018)。今回、テーパー型ファイバープレートを2段用いて(下の図:左)、空間分解能を飛躍的に向上させ、シンチレータ中を走行するα線に飛跡画像(下の図:中)を撮像することに成功しました。画像のプロファイルを取ると、ブラッグピークも観察されました(下の図:右)。α線の飛跡をリアルタイムで画像化できる装置の開発は世界初の成果です。なお、本研究は東北大学:金属材料研究所、吉川研究室との共同研究として行われました。

超高分解能α線イメージング装置(左)、Po-214のα線画像(中)画像のプロファイル(右)

Seiichi Yamamoto, Mitsutaka Yamaguchi, Takashi Akagi, Maki Kitano and Naoki Kawachi, Development of an ultrahigh-resolution radiation real-time imaging system to observe trajectory of alpha particles in a scintillator, Radiation Measurements,134, 2020, 106368
https://doi.org/10.1016/j.radmeas.2020.106368

2020年06月05日

博士後期課程2年の矢部君が筆頭著者の論文”Estimation and correction of Cerenkov-light on luminescence image of water for carbon-ion therapy dosimetry”が、Physica Medica (European Journal of Medical Physics)誌に掲載されました。おめでとうございます。
水の発光画像において入射粒子線のエネルギーが高い場合に、水の浅い部分に2次電子によるチェレンコフ光が発生し(下の図:左)、線量分布評価の妨げになっていました。この論文では、チェレンコフ光の分布をモンテカルロシミュレーションで求めました(下の図:右)。

チェレンコフ光の分布を実測画像から差し引くことで、大きな誤差を持っていた深部線量分布(下の図:左)を線量に近い分布に補正することに成功しました(下の図:右)。本研究は兵庫粒子線治療センターとの共同研究として行われました。

Takuya Yabe, Takashi Akagi, and Seiichi Yamamoto, Estimation and correction of Cerenkov-light on luminescence image of water for carbon-ion therapy dosimetry, Physica Medica 74 (2020) 118–124
https://doi.org/10.1016/j.ejmp.2020.05.012

2020年06月05日

新しい高感度即発X線撮像用のカメラを開発し、粒子線照射時に発生する即発X線の画質を大幅に改善しました。この成果は、Physics in Medicine and Biology誌に掲載されました。
これまでに開発してきた放射線画像化装置を用いた即発X線撮像法は、陽子線や炭素線の飛跡を画像化できる画期的な手法ですが、得られた画像は計数が少なく統計雑音が多いため、飛程を評価しにくいという問題点がありました。この問題点を解決するために、ピンホールコリメータの角度を大きくして、感度を向上させたX線カメラを2種類開発しました。1つは高分解能高感度タイプで(下図:左)、もう一つは低ノイズ高感度タイプ(下図:右)です。高分解能高感度タイプでは良好な画像が得られるのではないかと大きな期待を持って、炭素線の即発X線撮像測定にのぞみました。

しかし、高分解能高感度タイプで得られた炭素線の即発X線撮像測定は、中心部分にアーチファクトが出て測定不能であることが分かりました(下図:左)。一方、低ノイズ高感度タイプは良好な画像が得られました。炭素線が、パルス状に照射されるため、検出器や電子回路が、高分解能高感度タイプでは飽和したのが主な原因と考えられます。即発X線撮像装置の最適化設計は大変難しいことが明らかになりました。本研究はQST、兵庫粒子線治療センターとの共同研究として行われました。

Seiichi Yamamoto, Mitsutaka Yamaguchi, Takashi Akagi, Maki Kitano and Naoki Kawachi, Sensitivity improvement of YAP(Ce) cameras for imaging of secondary electron bremsstrahlung x-rays emitted during carbon-ion irradiation: problem and solution 2020 Phys. Med. Biol. 65 105008
https://doi.org/10.1088/1361-6560/ab7a6e

2020年06月05日

パルス状の炭素線照射による水の発光とチェレンコフ光を同時に測定し、その発光の時間変化は同じであることを実験で確認しました。この研究成果はBiomedical Physics and Engineering Express誌に掲載されました。
放射線照射による水の発光現象は、画期的な発見ですが、発光の時間変化は、未だ不明でした。今回、炭素線ビームがパルス状に照射されていることを利用し、水の発光部の発光時間変化と、チェレンコフ光を多く含む部分の発光時間変化をシリコンフォトマルモジュールを2台用いて、同時測定し比較しました(下図)。

その結果、水の発光(下図:左)とチェレンコフ光(下図:右)の時間変化は、ミリ秒の範囲で同じであることが明らかになりました。この結果は、水の発光とチェレンコフ光の発光メカニズムが同じであるということを支持する重要な成果です。

Seiichi Yamamoto, Takashi Akagi, Yoshiyuki Hirano, Masataka Komori, Measurements of temporal response of luminescence of water at lower energy than Cerenkov-light threshold during carbon-ion irradiation, Biomed. Phys. Eng. Express 6(2020)04500
https://iopscience.iop.org/article/10.1088/2057-1976/ab8b7e

2020年06月05日

低エネルギーのベータ線放出核種であるトリチウムのベータ線から放出される制動X線の画像化に世界で初めて成功しました。この研究成果はJournal of Instrumentation誌に掲載されました。
トリチウムから放出されるベータ線放は18.6 keVと極めて低く、その検出は困難です。この問題点を解決するために、トリチウムのベータ線から放出される制動X線を検出することを試み、画像化を行いました。画像化のために低エネルギーX線に対しても大きな発光が得られるLaGPSシンチレータを位置有感型光電子増倍管に光学結合し、イメージング装置を開発しました(下図)。

この検出器の上にトリチウム溶液の入ったプラスチック容器を配置し、画像化を試みました。その結果、タングステンマスクの形を明瞭に得られました(下図)。今回の研究で、トリチウムの分布測定の新しい方法が実現しました。

S. Yamamoto, K. Nakanishi, T. Furukawa, H. Tomita, K. Kamada and A. Yoshikawa, Imaging of bremsstrahlung X-rays from tritium water in a plastic bag using a LaGPS radiation imaging system, Journal of Instrumentation, 15 P04006, 2020
https://iopscience.iop.org/article/10.1088/1748-0221/15/04/P04006

2020年03月27日
2020年3月15日に、卒業証書手渡し会が行われ、喜多野さん、中西さん、永田さんが無事卒業しました。大変おめでとうございます。今年はコロナウイルスの関係で、卒業式は無くなりましたが、研究室で卒業証書を渡しました。皆さん元気に卒業しました。

博士後期課程1年の中西君が筆頭著者の論文がApplied Radiation and Isotopes誌に掲載されました。おめでとうございます。純粋なベータ線核種であるH-13とC-14からの制動X線をイメージング検出器で測定したときの感度とエネルギー分解能をモンテカルロシミレーションで評価した論文です。H-3とC-14の制動X線の画像化実験結果の論文も投稿中で、間もなく掲載される予定です。

C-14(左)とH-3の制動X線のエネルギースペクトル

Kouhei Nakanishi, Seiichi Yamamoto, Monte Carlo simulation of the bremsstrahlung X-rays emitted from H-3 and C-14 for the in-vivo imaging of small animals, Applied Radiation and Isotopes,160, 109136 (6pp), 2020
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0969804319307079?
via%3Dihub

2020年02月03日
2020年1月17日に、高エネルギー加速器研究機構(KEK)主催の研究会「放射線検出器とその応用」(第34回)で、山本教授が招待講演を行いました。講演タイトルは「種々の放射線照射による物質の発光現象の発見と応用」で、KEKの研究者の方から多くの質問を頂きました。
https://www-conf.kek.jp/rdetconf/program_mod.pdf

研究会「放射線検出器とその応用」の集合写真

2020年02月03日
博士前期課程1年の豊永さんが筆頭著者の論文がRadiation measurements誌に掲載されました。おめでとうございます。リニアックX線のチェレンコフ光に関する内容で、チェレンコフ光と線量分布との違いを、ビタミンB2を水に加えることで補正するという研究内容です。ビタミンB2により、チェレンコフ光の紫外線を含む青色光が長い波長の光に変換されることも明らかにしました。この研究は名古屋大学病院と共同で行われました。

ビタミンB2を用いたリニアックX線の発光分布補正の概念図

Chihiro Toyonaga, Seiichi Yamamoto, et al., A method of absorbed dose determination using vitamin B2 water for optical imaging of X-rays from high energy medical linear accelerators, Radiation Measurements 131, 106227(9pp), 2020

2020年02月03日
2019年10月9日に、チェレンコフ光イメージングによるLINAC画像研究で有名な、米国ダートナス大学のPetr Bruza博士が来学しチェレンコフ光イメージングに関する講演を行いました。また講演後、研究室のメンバーと居酒屋で懇親会を行い楽しい時間を過ごしました。

山本教授(左)とPetr Bruza博士(右)

2020年02月03日
2019年9月20日に、山本教授が、日本応用物理学会放射線賞を受賞しました。この賞は、放射線に関する研究の進展または技術の向上に多大な貢献をした成果に対して与えられる賞です。詳細は応用物理学会のホームページをご覧ください。

https://annex.jsap.or.jp/radiation/

放射線賞受賞講演時の写真(左図)、メダルと賞状(右図)

2020年02月03日
理化学研究所(理研)との新しいイメージング装置開発に関する共同研究成果が、名古屋大学と理化学研究所からプレス発表されました。理化学研究所の福地研究員と山本教授らの共同研究グループは、これまで単一のプローブしか解析できなかったベータ線イメージング装置にガンマ線を捉える検出器を組み込むことで、複数のプローブを同時に解析できる新装置「MI-IP(Multi-Isotope Imaging Plate)」を開発しました。詳しくは以下のプレス発表をご覧ください。
http://www.nagoya-u.ac.jp/about-nu/public-relations/researchinfo/upload_images/20191227_med1.pdf

この成果は、Medical Physics誌に掲載されました。Tomonori Fukuchi, Seiichi Yamamoto, et al., Beta‐ray imaging system with γ‐ray coincidence for multiple‐tracer imaging, Med. Phys. 2019, in-press

2020年02月03日
2019年10月26日から11月2日に英国マンチェスターで開催されたIEEE Nuclear Science Symposium (NSS) and Medical Imaging Conference (MIC)に研究室から博士後期課程1年の中西君と矢部君、山本教授が参加し、口頭発表2演題、ポスター発表8演題の合計10演題を発表しました。
会場の夜景(左) ミュンヘン大学Parodi教授と矢部君(中) 山本教授の発表(右)
会場の夜景(左)、ミュンヘン大学Parodi教授と矢部君(中)、山本教授の発表(右)
2019年07月12日
 博士後期課程1年の矢部君が筆頭著者の論文、Imaging of fragment particles in water by nuclear spallation during carbon-ion irradiation”が、医学物理学分野でトップジャーナルであるPhysics in Medicine and Biology 誌に掲載されました。おめでとうございます。本研究は兵庫粒子線治療センターとの共同研究として行われました。


炭素線の水の発光画像に核破砕反応で生じた粒子の発光が観察され(左図)、その発光画像から粒子の広がりも評価できました(右図)。

Takuya Yabe, Masataka Komori, Takashi Akagi, Tomohiro Yamashita, Seiichi Yamamoto, Imaging of fragment particles in water by nuclear spallation during carbon-ion irradiation, Phys. Med. Biol. 6413NT01 (6pp), 2019
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/31189139

2019年07月12日
 核医学内用療法で用いられるRa-223によると考えられるα線放出核種の検出に成功した研究が、名古屋大学広報から2019/07/04にプレス発表されました。  世界初!核医学治療中に放出されるα線放出核種の検出に成功 ~新しい放射線検出器開発によりα線放出核種の検出を実現~
http://www.nagoya-u.ac.jp/about-nu/public-relations/researchinfo/upload_images/20190704_med1.pdf
2019年07月12日
 ガンマカメラを用いて、放射線治療に用いられるIr-192線源のリアルタイム画像化に成功しました。この研究はRadiation Measurements誌に掲載されました。本研究は、名古屋大学付属病院との共同研究として行われました。今後装置の高分解能化に取り組んでいきます。


Ir-192線源の画像化に用いたガンマカメラ(左)とガンマカメラ画像(右)

Seiichi Yamamoto, Katsunori Yogo, Yumiko Noguchi, Takayoshi Nakaya, Kuniyasu Okudaira, Imaging of Ir-192 source using a high energy gamma camera for high-dose-rate brachytherapy, Radiation Measurements, Volume 126, 106128, 2019
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S1350448718308230

2019年07月12日
 放射線医学研究所のKang研究員らとの共同研究で、C-11やO-15の陽電子放出核種ビームの発光画像化に成功しました。本研究は医学物理学分野でトップジャーナルであるPhysics in Medicine and Biology 誌に掲載されました。またIOP Publishingの科学Webニュース:Physics Worldでも紹介されました。 https://physicsworld.com/a/optical-imaging-
characterizes-radioactive-ion-beams/


放射線医学研究所Kang研究員と山本教授(左図)と得られたビームの発光画像(右図)

Han Gyu Kang, Seiichi Yamamoto, Sodai Takyu, Fumihiko Nishikido, Akram Mohammadi, Ryo Horita, Shinji Sato, Taiga Yamaya, Optical imaging for the characterization of radioactive carbon and oxygen ion beams, Phys. Med. Biol. 64 115009 (10pp), 2019
https://iopscience.iop.org/article/10.1088/1361-6560/ab1ccf

2019年07月12日
 昨年度、博士前期課程を終了した堀田君が筆頭著者の、電子線照射による発光3次元画像計測に関する論文と、陽子線照射による発光3次元画像計測に関する論文がRadiation measurements誌とBiomedical Physics & Engineering Express誌にそれぞれ掲載されました。おめでとうございます。電子線の研究は名古屋大学病院と、陽子線の研究は名古屋陽子線治療センターと共同で行われました。


12MeV電子線の線量3次元画像

Ryo Horita, Seiichi Yamamoto, Katsunori Yogo, Yoshiyuki Hirano, Kuniyasu Okudaira, Fumitaka Kawabata, Takayoshi Nakaya, Masataka Komori, Hiroshi Oguchi, Estimation of the three-dimensional (3D) dose distribution of electron beams from medical linear accelerator (LINAC) using plastic scintillator plate, Radiation Measurements, 124, 103-108, 2019
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S1350448718308254


100MeV陽子線の線量3次元画像

Ryo Horita, Seiichi Yamamoto, Katsunori Yogo, Masataka Komori, Toshiyuki Toshito, Three-dimensional (3D) dose distribution measurements of proton beam using a glass plate, Biomedical Physics & Engineering Express, in-press
https://iopscience.iop.org/article/10.1088/2057-1976/ab169e

2019年03月27日
 本研究室の小野田君、豊永さんが無事卒業しました。おめでとうございます。また本研究室でも研究を行った小森研究室の堀田君も無事博士前期課程を修了いたしました。
2019年03月27日
 最近開発されたシンチレータである、LAGPS、GGAG、YGAGの発光減衰時間が放射線の種類で変化し、その性質を用いて、α線とβ線、あるいはγ線の画像を同時に別々の画像として収集することに成功しました。
 これらの成果(A high resolution radiation imaging detector using a ceramic YGAG scintillator plate、Development of a high resolution LaGPS imaging detector with pulse shape discrimination capability of different types of radiations、Development of a Si-PM-based GGAG radiation-imaging detector with pulse shape discrimination capability to separate different types of radiation)はそれぞれJournal of Instrumentation (JINST), Radiation Measurements, Nuclear Instruments and Methods-A (NIM-A)誌に掲載されました。これらの本研究は、それぞれ日立金属、東北大学と共同で行われました。

開発した放射線の種類弁別可能な位置検出器の一例(YGAG検出器)の写真
開発した放射線の種類弁別可能な位置検出器の一例(YGAG検出器)の写真

検出器表面に集めたラドン娘種のα線とγ線(左)、α線(中)とγ線の画像(右)
検出器表面に集めたラドン娘種のα線とγ線(左)、α線(中)とγ線の画像(右)


  • S. Yamamoto and S. Terazawa, A high resolution radiation imaging detector using a ceramic YGAG scintillator plate, JINST 14 P03014, 2019
  • S. Yamamoto, K. Kamada, S. Kurosawa, A. Yoshikawa, Development of a high resolution LaGPS imaging detector with pulse shape discrimination capability of different types of radiations, Nuclear Inst. and Methods in Physics Research-A, A 922, 8–18, 2019
  • S. Yamamoto, H. Nitta, Development of a Si-PM-based GGAG radiation-imaging detector with pulse shape discrimination capability to separate different types of radiation, Radiation Measurements, 119, 85–92, 2018
  • S. Yamamoto, H. Nitta, Pulse shape discriminations of different types of radiation on GGAG imaging detector, Nuclear Inst. and Methods in Physics Research-A, 910, 174–183, 2018
2019年03月27日
 α線内用療法に使われるRa-223を投与した患者が滞在する部屋のRa-223が崩壊してできるラドン(Rn219)娘核種(Bi-211)の濃度が上昇することを発見し、エネルギースペクトルでも、ラドン娘核種のカウントが高くなることを確認しました。この研究成果(Detection of alpha radionuclides in air from patients during Ra-223 alpha radionuclide therapy)は、Nature PublishingグループのScientific Reports誌に掲載されました。この成果は名古屋大学病院との共同研究として進められました。

ラドン娘核種検出器(左)、ラドン濃度変化(矢印がRn-219 娘核種のよる変化)(中)、エネルギースペクトル(Bi-211がRn-219 娘核種)(右)
ラドン娘核種検出器 (左)、ラドン濃度変化(矢印がRn-219 娘核種のよる変化)(中)、
エネルギースペクトル(Bi-211がRn-219 娘核種)(右)


S. Yamamoto, K. Kato, N. Fujita, M. Yamashita, T. Nishimoto, H. Kameyama, S. Abe, Detection of alpha radionuclides in air from patients during Ra-223 alpha radionuclide therapy, Scientific Reports, 8, 10976, 2018
2019年03月27日
 水がチェレンコフ光閾値以下のエネルギーの放射線で発光する現象以外に、ガラスも発光することを発見しました。またガラスの発光は、陽子線に対してブラッグピークの高さが低く検出される、いわゆるクエンチング現象がほとんどないことも明らかにしました。これらの成果(Imaging of the scintillation light of float and silica glasses during irradiation of radiations)は、Journal of Instrumentation (JINST)誌に掲載されました。本研究は陽子線治療センターとの共同研究として行われました
S. Yamamoto, R. Horita, T. Toshito and M. Komori, Imaging of the scintillation light of float and silica glasses during irradiation of radiations, Journal of Instrumentation, 13, P10021, 2018

チェレンコフ光閾値以下の陽子線(119MeV)をガラスに照射した発光画像(左)と深部発光分布(右)
チェレンコフ光閾値以下の陽子線(119MeV)をガラスに照射した発光画像(左)と
深部発光分布(右)

2018年07月02日
 本研究室では、これまで放射線が水中で微弱光を発することを発見しました。この発光は、これまで知られていたチェレンコフ光が生じない条件で発光する全く新しい現象であり、世界的な注目を集めています。この発光を高感度カメラで撮像することで放射線が水に与える線量分布を画像化できることも明らかにしていました。
しかし、水の発光現象は全く新しい現象であり、その発光機序は未だ不明でした。可能性としては、いろいろな候補が考えられましたが、それを証明する実験データは、これまで得られていませんでした。今回、炭素線照射による水の発光波長分析から、水の発光はチェレンコフ光のもとになっている発光であることを明らかにしました。
本研究は、国際共同研究で、兵庫粒子線医療センター、タンペレ工科大学、量子科学技術研究開発機構(量研)高崎量子応用研究所との共同研究として行われました。
この成果はシミュレーションの成果とともに名古屋大学広報からプレス発表されました。
http://www.nagoya-u.ac.jp/about-nu/public-relations/researchinfo/upload_images/20180628_med_1.pdf

炭素線による水の発光画像(A)、深度分布(B)、水面での発光スペクトル(C)、ブラッグピークでの発光スペクトル(D)
炭素線による水の発光画像(A)、深度分布(B)、
水面での発光スペクトル(C)、ブラッグピークでの発光スペクトル(D)

Seiichi Yamamoto, Takashi Akagi, Tomohiro Yamashita, Juha Toivonen, Mitsutaka Yamaguchi, Masataka Komori, Naoki Kawachi, Source of luminescence of water lower energy than the Cerenkov-light threshold during irradiation of carbon-ion, Journal of Physics Communications, J. Phys. Commun. 2, 065010, 2018
http://iopscience.iop.org/article/10.1088/2399-6528/aaca28/pdf
2018年07月02日
 修了生の矢部君が筆頭著者の一人である論文、 “Addition of luminescence process in Monte Carlo simulation to precisely estimate the emitted light from water during proton and carbon-ion irradiations”が医学物理学分野のトップジャーナルの一つであるPhysics in Medicine and Biology誌に掲載されました。おめでとうございます。
本研究室で発見された水の発光現象は全く新しい現象であるため、放射線物理の分野で利用されているコンピュータシミュレーションに組み込まれていません。そのため現状の計算では、水の発光に関して、実験とは全く異なる分布が得られていました。今回、水の発光をシミュレーションに追加することで実験データと一致する発光分布を得ることができるようになりました。
本研究は、名古屋陽子線治療センター、兵庫粒子線医療センター、三菱電機先端技術総合研究所との共同研究として行われました。

245MeVの炭素線を水に照射した場合の水の発光画像:これまでのコンピュータシミュレーション画像(左)、実験画像(中)。これらは全く異なる画像が得られていた。今回修正したコンピュータシミュレーション画像(右):実験と同じ画像が得られるようになった。
245MeVの炭素線を水に照射した場合の水の発光画像:
これまでのコンピュータシミュレーション画像(左)、実験画像(中)。
これらは全く異なる画像が得られていた。
今回修正したコンピュータシミュレーション画像(右):
実験と同じ画像が得られるようになった。

T. Yabe, M. Sasano, Y. Hirano, T. Toshito, T. Akagi, T. Yamashita, M. Hayashi, T. Azuma, Y. Sakamoto, M. Komori and S. Yamamoto, Addition of luminescence process in Monte Carlo simulation to precisely estimate the emitted light from water during proton and carbon-ion irradiations, Phys. Med. Biol., Phys. Med. Biol., 63, 125019 (12pp), 2018
https://www.researchgate.net/publication/325880283_Addition_of_
luminescence_process_in_Monte_Carlo_simulation_to_precisely_estimate
_the_light_emitted_from_water_during_proton_and_carbon-ion_irradiation
2018年07月02日
 X線CT用シンチレータとして開発された、セラミックシンチレータが、放射線を事象ごとに処理するタイプの放射線イメージング装置として高い性能を示すことを実証しました。X線用シンチレータは、一般に透明度が低く、ガンマカメラなどの事象ごとに位置を計算して画像を作成するタイプの放射線イメージング装置への応用は考えられていませんでした。今回、X線CT用に開発されたGGAGシンチレータを位置有感型光電子増倍管に組み合わせ、種々の放射線に対して性能を評価しました。その結果、他の透明なシンチレータを組み合わせたものより、高い性能が得られることが明らかになりました。
 この成果(Development of an event-by-event based radiation imaging detector using GGAG: A ceramic scintillator for X-ray CT)はNuclear Inst. and Methods in Physics Research, A誌に掲載されました。
本研究は、日立金属との共同研究として行われました。

GGAG放射線イメージング装置の写真(左)と装置を用いて撮像したAm-241からのα線(5.5MeV)画像(右)。2.0 line pair (lp)/㎜のスリットが分解し始めている。
GGAG放射線イメージング装置の写真(左)と装置を用いて撮像したAm-241からのα線(5.5MeV)画像(右)。
2.0 line pair (lp)/㎜のスリットが分解し始めている。

Seiichi Yamamoto, Hideo Nitta, Development of an event-by-event based radiation imaging detector using GGAG: A ceramic scintillator for X-ray CT, Nuclear Inst. and Methods in Physics Research, A 900, 25-31, 2018
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S016890021830634X
2018年07月02日
 1㎜x1x㎜ピクセルのSi-PMアレーを0.2mmx0.2㎜ピクセルのGAGGプレートに光学結合し、種々の放射線に対して性能を評価したところ、興味深い現象を見つけることができました。まず、低いエネルギー(100keVから250keV)のγ線やβ線に対しては、高い空間分解能の画像が得られました。一方、高エネルギー(最大エネルギー~2MeV)のβ線照射では空間分解能は劣化しました。高エネルギーのβ線の飛程が長いためと考えられます。またγ線でも、光電効果のピークの画像が、コンプトン散乱の画像より空間分解能が低く撮像されることが分かりました。
これらの成果(Development of ultrahigh resolution radiation imaging detector using 1mm channel size Si-PM array combined with 0.2mm x 0.2mm pixelated GAGG plate)はJournal of Instrumentation誌に掲載されました。
本研究は、早稲田大学、理化学研究所、東北大学との共同研究として行われました。

0.2mmx0,2㎜ピクセルのGAGGプレートが122keVのガンマ線(左)と最大エネルギー245keVのベータ線(右)照射による画像。ピクセルは明瞭に分解できた。
0.2mmx0,2㎜ピクセルのGAGGプレートが
122keVのガンマ線(左)と最大エネルギー245keVのベータ線(右)照射による画像。
ピクセルは明瞭に分解できた。

S. Yamamoto, J. Kataoka, T. Fukuchi, K. Kamadad and A. Yoshikawa, Development of ultrahigh resolution radiation imaging detector using 1mm channel size Si-PM array combined with 0.2mm x 0.2mm pixelated GAGG plate, JINST 13 P05028, 2018
http://iopscience.iop.org/article/10.1088/1748-0221/13/05/P05028
2018年07月02日
 福島第一原子力発電所事故により放出されたプルトニウムの検出するための、小型のα線イメージング装置を開発しました。この装置は、ZnS(Ag)薄膜シンチレータを位置有感型光電子増倍管に光学結合した構造で、0.45㎜の空間分解能を有します。今後、質量分析装置と組み合わせ、高感度なプルトニウム粒子の検出が期待されます。
この成果(Development of a high-resolution alpha-particle imaging system for detection of plutonium particles from the Fukushima Daiichi nuclear power plant)はRadiation Measurements誌に掲載されました。
本研究は、名古屋大学工学系研究科の富田准教授との共同研究として行われました。

開発した小型α線イメージング装置(左)とマントル繊維からのα線画像(右)
開発した小型α線イメージング装置(左)とマントル繊維からのα線画像(右)

Seiichi Yamamoto, Hideki Tomita, Development of a high-resolution alpha-particle imaging system for detection of plutonium particles from the Fukushima Daiichi nuclear power plant, Radiation Measurements 115, 13-19, 2018
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S1350448718301641?
via%3Dihub
2018年04月05日
 アルファ線の分布を、これまでの数倍高い空間分解能で画像化可能な画像化装置の開発に成功しました。これまで、アルファ線の分布を高分解能で得るために、光センサーであるシリコンフォトマル(Si-PM)アレーにシンチレータを組み合わせて、高分解能を達成していました。しかし、Si-PMのチャンネルの大きさが3㎜と大きいために、ZnS(Ag)シンチレータと組み合わせても0.45㎜程度の空間分解能が限界でした。今回、世界で初めて1㎜のSi-PMを組み合わせたアルファ線画像化装置を開発したところ、空間分解能が3倍高い、0.15㎜が得られました。その結果、極めて精細なアルファ線の分布画像を得ることができるようになりました。
 この成果(Development of ultrahigh resolution alpha particle imaging detector using 1 mm channel size Si-PM array)はNuclear Instrumments and Methods in Physics Research, A誌に掲載されました。

1mm サイズのSi-PMアレー(8x8マトリクス)(A)と、開発したアルファ線画像化装置(B)
1mm サイズのSi-PMアレー(8x8マトリクス)(A)と、
開発したアルファ線画像化装置(B)

Seiichi Yamamoto and Wataru Kawaguchi, Development of ultrahigh resolution alpha particle imaging detector using 1 mm channel size Si-PM array, Nuclear Inst. and Methods in Physics Research, A , 894, 33-38, 2018
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0168900218304157
2017年03月01日
 世界最高の空間分解能を有する放射線画像化装置の開発に成功し、物質中の放射線の動きを実時間で観察可能にしました。
 開発した装置の超高分解能の性能は、1ミクロンという細い光ファイバー状のシンチレータを用い、その発光を拡大し、高感度CCDカメラで画像化することで達成しました。得られた空間分解能は25ミクロンで、これは現状、実時間で画像化可能な放射線画像化装置としては世界最高の性能です。
 代表的な放射線にはアルファ線、ベータ線、ガンマ線などありますが、これらの放射線は物質中でのふるまいが異なります。アルファ線は動く距離が短く、ベータ線は比較的長く、ガンマ線は電子に変換された後に物質中を少し動きます。今回、開発した装置は、これらの放射線の種類による、シンチレータ中でのこれらの動きの違いを実時間で観察可能にしました。
 この成果(Ultrahigh resolution radiation imaging system using an optical fiber structure scintillator plate)は、英国Nature Publish Groupのオンライン科学誌『Scientific Reports』に2018年2月16日(現地時間)に掲載されました。また名古屋大学広報から、プレス発表されました。

http://www.nagoya-u.ac.jp/about-nu/public-relations/researchinfo/upload_images/20180220_med_1.pdf

本研究は、東北大学金属材料研究所の吉川彰教授、鎌田圭准教授と共同で行われました。
開発した世界最高の空間分解能を有する放射線画像化装置(A)、アルファ線の画像(B)、ベータ線の画像(C)、ガンマ線の画像(D)
開発した世界最高の空間分解能を有する放射線画像化装置(A)、アルファ線の画像(B)、ベータ線の画像(C)、ガンマ線の画像(D)

Seiichi Yamamoto, Kei Kamada, Akira Yoshikawa, I Ultrahigh resolution radiation imaging system using an optical fiber structure scintillator plate, Scientific Reports, 2018;8(1):3194
https://www.nature.com/articles/s41598-018-21500-z
2017年03月01日
 M2年の、矢部君が第一著者の論文、"Estimation and correction of produced light from prompt gamma photons on luminescence imaging of water for proton therapy dosimetry"が、医学物理ではトップジャーナルの一つであるPhysics in Medicine and Biology誌に掲載されました。おめでとうございます。
 私たちの研究グループは、これまでに陽子線が水中で微弱光を発することを発見し、この光を高感度カメラで撮像することで陽子線が水に与える線量と類似の分布を画像化することに成功していました。しかし、得られた画像と実際の線量分布との間に、わずかですが違いがありました。今回、この違いが、陽子線照射によって生じる即発ガンマ線が水中で発光することによるものであることを明らかにし、その成分を補正することで、線量と一致する分布を得ることに成功しました。本研究成果は、名古屋大学広報から、プレス発表されました。

http://www.nagoya-u.ac.jp/about-nu/public-relations/researchinfo/upload_images/20180220_med_2.pdf

 また、量子科学技術研究開発機構からも同時にプレス発表されました。本研究は、名古屋陽子線治療センター、量子科学技術研究開発機構と共同で行われました。
http://www.qst.go.jp/information/itemid034-003827.html

補正前の陽子線照射発光の深度線量分布と即発ガンマ線による発光の分布(左)補正後の深度線量分布(右)
補正前の陽子線照射発光の深度線量分布と即発ガンマ線による発光の分布(左)補正後の深度線量分布(右)

Yabe T, Komori M, Toshito T, Yamaguchi M, Kawachi N, Yamamoto S. Estimation and correction of produced light from prompt gamma photons on luminescence imaging of water for proton therapy dosimetry. Phys. Med. Biol. 63,04NT02, 2018
http://iopscience.iop.org/article/10.1088/1361-6560/aaa90c
2017年12月21日
 光計測法によりRa-223の分布を画像化することに成功しました。
 α線放出核種であるRa-223溶液の分布を、光計測法により世界で初めて分布を画像化することに成功しました。Ra-223はα線内用療法として核医学治療の分野で使われ始めています。しかし、α線の飛程は短く、その分布を知ることは困難でした。この問題点を解決するために、Ra-223の放出する放射線が溶液中で発する微弱光を計測することで分布の計測を試みました。その結果、ポジトロン放出核種であるF-18に比べ、同じ放射能で約20倍の発光があり、その分布を明確に知ることができました。画像化した発光は主に、Ra-223から生成される娘核種の放出するβ線によるチェレンコフ光と考えられます。この成果(Imaging of Ra-223 solution using an optical method)は、Radiation Mesurements誌に掲載されました。
 なお本研究は、名古屋大学病院と共同で行われました。
Ra-223溶液の発光画像とF-18溶液の発光画像(左) 測定時間と発光量の関係(右)
Ra-223溶液の発光画像とF-18溶液の発光画像(左)、測定時間と発光量の関係(右)

Seiichi Yamamoto, Katsuhiko Kato, Hiroshi Kameyama, Shinji Abe, Imaging of Ra-223 solution using an optical method, Radiation Measurements, 108, 52–58, 2018
http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S1350448717306418
2017年12月21日
 チェレンコフ光閾値以下のエネルギーの放射線照射により生じる水の発光が安定で、また発光量が放射線のエネルギーに比例することを明らかにしました。
これまでに、チェレンコフ光閾値以下のエネルギーの放射線照射により水が発光する現象を報告しましたが、その発光の安定性やエネルギー直線性は不明であり、この現象を線量測定に用いる妨げになっていました。今回、放射線照射により生じる水の発光が、温度や不純物の影響を受けず安定であり、また発光量が放射線のエネルギーに比例することを明らかにしました。この結果により、発光現象が線量測定に使える可能性が高くなりました。この成果(Stability and linearity of luminescence imaging of water during irradiation of proton-beams and X-ray photons lower energy than the Cerenkov light threshold)は、Nuclear Instrumments and Methods in Physics Research, A誌に掲載されました。
 なお本研究は、名古屋大学工学系研究科、名古屋陽子線治療センターと共同で行われました。
エネルギーの異なる陽子線の発光画像(左) エネルギーの異なるX線の発光画像(右)
エネルギーの異なる陽子線の発光画像(左)、エネルギーの異なるX線の発光画像(右)

Seiichi Yamamoto, Shuji Koyama, Takuya Yabe, Masataka Komori, Junki Tada, Shiori Ito, Toshiyuki Toshito , Yuho Hirata , Kenichi Watanabe, Stability and linearity of luminescence imaging of water during irradiation of proton-beams and X-ray photons lower energy than the Cerenkov light threshold, Nuclear Inst. and Methods in Physics Research, A, 883(1),48-56, 2018 
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0168900217313207
2017年12月21日
 シリコンフォトマルを用いた小型PET装置を開発の開発に成功しました。 M2の中西君が第一著者の論文、Development of a circular shape Si-PM-based detector ring for breast-dedicated PET systemが、Nuclear Instruments and Methods in Physics Research-A (NIM-A)誌に掲載されました。新しい半導体光センサーであるシリコンフォトマルとシンチレータを組み合わせた検出器を用いた小型PET装置を開発した内容です。乳がんの診断や痴呆症の早期診断などに威力を発揮するものと期待されます。本研究内容は、名古屋大学広報からプレス発表されました。
http://www.nagoya-u.ac.jp/about-nu/public-relations/researchinfo/upload_images/20171128_htc_1.pdf
 なお本研究は、東北大学サイクロトロンセンター、名古屋大学病院との共同研究として行われました。
開発した小型PET装置(左) 頭部のファントム画像(右)
開発した小型PET装置(左)と頭部のファントム画像(右)

Kouhei Nakanishi, Seiichi Yamamoto, Hiroshi Watabe, Shinji Abe, Naotoshi Fujita, Katsuhiko Kato, Development of a circular shape Si-PM-based detector ring for breast-dedicated PET system, Nuclear Inst. and Methods in Physics Research, A 880(1), 118-124, 2018
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0168900217311348
2017年12月21日
 米国アトランタで行われた、2017 Nuclear Science Symposium and Medical Imaging ConferenceにM2の中西君と安藤君が参加し、ポスター発表を行いました。
学会場のアトランタのホテル(左) 中西君(中) 安藤君(右)
学会場のアトランタのホテル(左)、中西君(中)と安藤君(右)(ポスター発表会場で)
2017年12月21日
 大阪で行われた、第8回日韓医学物理学会で、M2の安藤君が発表した演題:Development of a low-energy X-ray camera for the imaging of secondary electron bremsstrahlung emitted during proton irradiation for range estimationが、Young Investigator Awardsに選ばれました。おめでとうございます。
表彰式会場で表彰状を授与されている安藤君
表彰式会場で表彰状を授与されている安藤君
2017年09月05日
 リニアック(LINAC)からのX線を、水に照射することにより生じる画像の計測に成功し、ビームの幅を高い精度で計測可能であることを実証しました。本研究はNuclear Instruments and Methods in Physics Research, A (NIM-A)誌に掲載されました。
 LINACからのX線を水のファントムに照射し、水の発光を側面から冷却CCDカメラで撮像したところ、線量分布に近い鮮明な画像が得られました(下図:左)。その水平方向の輝度分布を測定したところ、治療計画装置で計算される結果とほぼ一致しました(下図:右)。今回得られた成果は、放射線治療における装置の精度管理への応用が期待されます。なお本研究は名古屋大学病院と共同で行われました。
LINACからのX線照射による水の発光画像(左) 水平方向の輝度分布と線量分布(右)
LINACからのX線照射による水の発光画像(左)、水平方向の輝度分布と線量分布(右)

Optical imaging of water during X-ray beam irradiations from linear accelerator, Nuclear Inst. and Methods in Physics Research-A, 872, 174–180, 2017
http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0168900217308318
2017年09月05日
 M2の中西君が第一著者の論文、Performance comparison of finely pixelated LYSO- and GAGG-based Si-PM gamma cameras for high resolution SPECTがNuclear Instruments and Methods in Physics Research-A (NIM-A)誌に掲載されました。おめでとうございます。
 本研究は、シリコンフォトマルと組み合わせた場合、スリットの入ったGAGGシンチレータとLYSOシンチレータでは、どちらがシングルフォトンエミッションCT(SPECT)として優れているかを評価した内容です。GAGGの方が、性能が高くバックグランド計数も少ないためSPECT用シンチレータに適するとの結果が得られました。空間分解能の性能比較を、スリットファトム画像で行ったところ、LYSO (下図:左)に比べ、GAGG(下図:右)の方が細かい幅のスリットまで分解できることが分かりました。なお本研究は、早稲田大学の片岡研究室との共同研究として行われました。
122keVガンマ線照射によるスリットファントム画像、LYSO(左)とGAGG(右)
122keVガンマ線照射によるスリットファントム画像、LYSO(左)とGAGG(右)

Kouhei Nakanishi, Seiichi Yamamoto, Jun Kataoka, Performance comparison of finely pixelated LYSO- and GAGG-based Si-PM gamma cameras for high resolution SPECT, Nuclear Inst. and Methods in Physics Research-A, 872, 107–111, 2017
http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0168900217308677
2017年09月05日
 M2の安藤君が第一著者の論文、Development of a low-energy x-ray camera for the imaging of secondary electron bremsstrahlung x-ray emitted during proton irradiation for range estimationがPhysics in Medicine and Biology (PMB)誌に掲載されました。PMB誌は医学物理関係では世界で最も権威のある学術誌の1つです。おめでとうございます。
本研究は、量子科学技術研究機構(QST)や名古屋陽子線治療センターと共同で進めている、陽子線照射時の被検体中の線量分布を外から画像化する研究のための装置開発に関する内容です。今回、高エネルギーガンマ線には感度が低く、低エネルギーX線を高い感度と空間分解能で画像化可能なガンマカメラを開発し(下図左)、陽子線照射時に発生する低エネルギーX線の鮮明な画像を得ることが可能であることを実証しました(下図右)。将来的には、患者への陽子線照射中における線量や飛程の計測への応用が期待されます。
開発したX線カメラ(左) 得られた陽子線照射中の水ファントムから放射されたX線画像(右)
開発したX線カメラ(左)と得られた陽子線照射中の水ファントムから放射されたX線画像(右)

Koki Ando, Mitsutaka Yamaguchi, Seiichi Yamamoto, Toshiyuki Toshito and Naoki Kawachi, Development of a low-energy x-ray camera for the imaging of secondary electron bremsstrahlung x-ray emitted during proton irradiation for range estimation, Phys. Med. Biol. 62, 5006–5020, 2017
http://iopscience.iop.org/article/10.1088/1361-6560/aa7166/meta
2017年04月11日
 チェレンコフ光閾値以下のエネルギーのX線照射により、生体と似た物質が発光する現象を発見し、その画像化に成功しました。この成果は、Optical Review誌のOnline版に掲載されました。
 山本研究室ではこれまで、チェレンコフ光閾値以下のエネルギーのX線照射により、水が発光する現象を世界で初めて発見し、画像化することに成功しました。今回、水以外の、生体と似た物質の発光を確認しました。
 肉の塊などに、チェレンコフ光閾値以下のエネルギーのX線を照射しながら、高感度CCDカメラを用いて画像を撮像したところ、X線を照射した部分の発光を明確に画像化することができました。この成果は、診断用X線の照射で生体が光ることを示しており、X線照射位置のモニターなどに発展できる可能性があります。また空気もチェレンコフ光閾値以下のエネルギーのX線照射により発光することを確認し、画像化することに成功し同じ論文に報告しました。
120kVのX線を照射したときの豚肉のブロックの発光画像
120kVのX線を照射したときの豚肉のブロックの発光画像(光学画像との融合画像)。
赤い部分がX線照射による発光部。

Seiichi Yamamoto, Shuji Koyama, Chiyo Yamauchi-Kawaura, Masataka Komori, Luminescence imaging of biological subjects during X-ray irradiations lower energy than Cerenkov-light threshold, Optical Review, in-press
http://link.springer.com/article/10.1007/s10043-017-0325-z
2017年04月11日
 量子科学技術研究機構(QST)などと共同で、陽子線が水中を通り過ぎるときに瞬時に発生するX線の計測によって"リアルタイム見える化"する方法を考案し、その実証に世界で初めて成功しました。この研究成果は、名古屋大学広報からプレス発表されました。
http://www.nagoya-u.ac.jp/about-nu/public-
relations/researchinfo/upload_images/PressRelease.pdf

 物質に入射した粒子線の飛跡をモニタリングする方法には、飛跡に沿って発生する陽電子の分布を撮像する方法があります。しかし、粒子線が物質内を通り過ぎてから陽電子が発生するまでには時間がかかります。この問題を回避しリアルタイムでの"見える化"を実現するために、粒子線が標的内を通り過ぎるときに発生する電子から放出される放射線に着目しました。これは電子制動放射線と呼ばれ、エネルギーが低いため計測が容易であることに加え、瞬時にたくさん発生するため、粒子線がん治療ビームの"リアルタイム見える化"への応用が期待されます。そこで、この放射線の発生メカニズムについて研究し、実際の陽子線がん治療装置を用いて、"見える化"の実証に世界で初めて成功しました。さらに、がん治療に用いられているビーム強度に対しても、本手法が適用可能であることを示しました。今後の発展が期待されます。
陽子線照射中に得られた制動X線画像
陽子線照射中に得られた制動X線画像
2017年04月11日
 理化学研究所と共同で、2核種同時測定を可能なPET装置の開発に成功しました。この研究成果は、名古屋大学広報からプレス発表されました。
http://www.nagoya-u.ac.jp/about-nu/public-
relations/researchinfo/upload_images/20170215_med.pdf

 PETで使用可能な陽電子放出核種は複数種存在しますが、現在のPET装置では異なる陽電子放出核種で標識したPETプローブを区別して画像化することは原理的に不可能でした。複数のPETプローブを同時に画像化できれば、非侵襲的な検査で体内の様子をさらに詳しく把握することが可能となり、多様な疾患の診断に応用できると期待できます。共同研究グループは、ある種の陽電子放出核種が、陽電子とともに固有の脱励起ガンマ線を放出する性質に着目しました。脱励起ガンマ線は従来のPET装置では捉えることが困難でしたが、PET装置に脱励起ガンマ線専用の大型検出器を多数追加し、一度の撮像で2種類のPETプローブを識別する同時イメージングに成功しました。
開発した、2核種同時測定を可能な小型PET装置
開発した、2核種同時測定を可能な小型PET装置

Tomonori Fukuchi, Takashi Okauchi, Mika Shigeta, Seiichi Yamamoto, Yasuyoshi Watanabe, Shuichi Enomoto, Positron Emission Tomography with Additional γ-ray Detectors for Multiple-Tracer Imaging, Medical Physics, in press
http://aapm.onlinelibrary.wiley.com/hub/journal/10.1002/(ISSN)2473-4209/
2017年04月11日
 卒業式が行われました。伊藤さん、梶田さん、多田君、仲井さんが卒業しました。みなさん、ご卒業おめでとうございます。
2017年01月24日
 光学レンズを用いることにより、α線画像を非接触でかつ計数として検出可能な装置の開発に世界で始めて成功しました。この研究内容はNuclear Instruments and Methods in Physics Research-A 誌に掲載されました。この論文の第一著者はM1の安藤君です。おめでとうございます。
http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0168900216311883

 α線は、空気中での飛程が数センチメートルと短いため、その検出は一般に困難です。特に画像化するには、α線源に検出器を密着させて撮像する必要がありました。この問題点を解決するために、α線源上にZnS(Ag)シンチレータ膜を配置し、その発光を、光学レンズを用いて位置有感型光電子増倍管(Position sensitive photomultiplier tube:PSPMT)の光電面に、少し焦点をずらして結像させ、PSPMTからの信号を重心演算することでα線の画像を計数として検出する装置を実現しました。この開発により、α線放出核種の分布を非接触で得ることが可能となりました。PSPMTとレンズを用いた構成で、計数として分布を得ることのできる放射線画像化装置の開発は、世界初の成果です。
レンズを用いたα線画像化装置(左) 撮像した空間分解能チャート画像(右)
今回開発したレンズを用いたα線画像化装置(左)と撮像した空間分解能チャート画像(右)

Koki Ando, Miki Oka, Seiichi Yamamoto, Development of an optical lens based alpha-particle imaging system using position sensitive photomultiplier tube, Nuclear Inst. and Methods in Physics Research-A, 844, 72–76, 2017
2017年01月24日
 新しいシンチレータであるGAGGとGFAGを用いて、深さ方向の検出可能なTOF-PET用検出器の開発が可能であることを明らかにしました。D2小林さんが第一著者のこの研究内容は,Nuclear Instruments and Methods in Physics Research-A 誌に掲載されました。おめでとうございます。
http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0168900216310713

 PET装置用検出器は、視野中心部から離れた位置における空間分解能の劣化を少なくするために深さ方向の位置検出可能な(Depth-of-interaction: DOI)機能が望まれます。また画像の信号雑音比(S/N)を改善するために飛行時間(Time of flight:TOF)情報を得ることも望まれます。東北大学の吉川研究室で開発された、2種類のシンチレータを深さ方向に積層することで、この2つの機能を有する、DOI-TOF検出器の開発が可能であることを実験により明らかにしました。本研究は、韓国:高麗大学と、東北大学:吉川研究室との共同研究として行われました。

Takahiro Kobayashi, Seiichi Yamamoto, Satoshi Okumura, Jung Yeol Yeom, Kei Kamada, Akira Yoshikawa, Basic performance of Mg co-doped new scintillator used for TOF-DOI-PET systems, Nuclear Inst. and Methods in Physics Research-A, 842, Pages 14–19, 2017
2016年09月29日
 PETとオーバーハウザーMRI(OMRI)を組み合わせた:PET/OMRI一体型装置の開発に世界で初めて成功しました。この研究成果は,米国医学物学会誌であるMedical Physicsに掲載されました。
http://scitation.aip.org/content/aapm/journal/medphys/43/10/10.1118/
1.4963215


 フリーラジカルは種々の疾患の原因であることが知られていますが、その体内分布を知ることは困難でした。最近、オーバーハウザーMRI(OMRI)装置が開発され、フリーラジカルの分布を画像化することが可能となりました。しかしOMRI装置では疾患の位置を知ることが困難であるという問題点がありました。PETは疾患の場所を機能測定により早期に発見することが可能であり、OMRIと組み合わせることで新たな情報を得られることが期待されます。そこでPETとOMRIを組み合わせた小動物用PET/OMRI一体型装置の開発を行いました。開発した装置は光ファイバー型PET装置をOMRI装置中に配置し同時測定を可能にしました。この装置により、PETのポジトロン核種を用いたプローブの分布と、OMRIのラジカルプローブの分布を同時に撮像することが可能となりました。本開発は、大阪大学の畑澤教授のグループと、九州大学の市川教授のグループとの共同研究として行われたものです。
開発したPET/OMRI一体型装置(左) F-18-NaFとニトロキシルラジカル(NXR)を投与したマウスのPET(白黒)とOMRI(赤色)との融合画像(右)
開発したPET/OMRI一体型装置(左)とF-18-NaFとニトロキシルラジカル(NXR)を
投与したマウスのPET(白黒)とOMRI(赤色)との融合画像(右)

Seiichi Yamamoto, Tadashi Watabe, Hayato Ikeda, Yasukazu Kanai, Kazuhiro Ichikawa, Motonao Nakao, Katsuhiko Kato, Jun Hatazawa, Development of a PET/OMRI combined system for simultaneous imaging of positron and free radical probes for small animals, Medical Physics, 43 (10), 5676-5684, 2016
2016年09月29日
 世界最小サイズ(0.32㎜)のシンチレータを用いた超高分解能PET装置の開発に、世界で初めて成功しました。この研究内容は,Nuclear Instruments and Methods in Physics Research-A 誌に掲載されました。
http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0168900216308634

 PET装置の空間分解能を向上させるためには小さなサイズのシンチレータが必要であり、またそのシンチレータの位置を正確に検出できる光センサーが必要になります。今回、0.32㎜のサイズのシンチレータ(LYSO)とシリコンフォトマル(Si-PM)を組み合わせた超高分解能ガンマ線位置検出器を開発し、その検出器をリング状に配置することで超高分解能PET装置を開発することに成功しました。性能を評価したところ、0.6㎜の空間分解能を有することが明らかになりました。0.6㎜の空間分解能は現状世界最高であります。またこの装置を用い、マウスの脳の微細な構造を観察できることも確認できました。本開発は、大阪大学の畑澤教授のグループとの共同研究として行われたものです。
超高分解能PET装置の検出器リング(左) マウス画像(右)
今回、開発に成功した0.32㎜サイズのシンチレータを用いた
超高分解能PET装置の検出器リング(左)とマウス画像(右)

Seiichi Yamamoto, Hiroshi Watabe, Tadashi Watabe, Hayato Ikeda, Yasukazu Kanai, Yoshimune Ogata, Katsuhiko Kato, Jun Hatazawa, Development of ultrahigh resolution Si-PM-based PET system using 0.32 mm pixel scintillators, Nuclear Inst. and Methods in Physics Research-A. 836, 7–12, 2016
2016年09月29日
 M1の中西君が第一著者の、高分解能胸部用PET装置(PEM)用検出器の開発、に関する論文が、Nuclear Instruments and Methods in Physics Research-A 誌に掲載されました。おめでとうございます。
http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0168900216309366

 開発した検出器は、図のように曲がったライトガイドにシンチレータとSi-PMが配置されています。この特徴ある形状のため、16個の検出器ユニットをリング状に並べると、ほぼ円形(64角形)の検出器リングを構成することが可能となります。円形の検出器配置は幾何学的にシンプルであり、サンプリングが均一でアーチファクトの少ないPET装置が構成可能です。またハードのみならずソフト開発の負担も少なくなります。現在、この検出器ユニットを用いたPEM装置を、東北大学の渡部先生と共同で開発中ですが、間もなく完成する予定です。
開発したPEM用検出器の概念図(左) 写真(右)
開発したPEM用検出器の概念図(左)と写真(右)

Kouhei Nakanishi and Seiichi Yamamoto, Development of an angled Si-PM-based detector unit for positron emission mammography (PEM) system, Nuclear Inst. and Methods in Physics Research-A. 837, 171–177, 2016
2016年07月23日
 陽子線と炭素線の照射により、空気が発光する現象の画像化に、世界で初めて成功しました。この研究内容は,Nuclear Instruments and Methods in Physics Research-A誌に掲載されました。
 粒子線治療に使われる陽子線や炭素線照射により空気が発光するとは、これまで考えられていませんでした。今回、陽子線と炭素線を水に照射しながら、高感度CCDカメラで撮像した画像の空気の部分に、発光の存在を発見しました。空気の発光部分を画像解析したところ、陽子線と炭素線のビーム幅に近い大きさであることも確認できました。この空気の発光は、発光波長分析により、空気中の窒素ガスに起因することも明らかにしました。本研究成果は、簡便な陽子線と炭素線のビーム評価手法に発展できるものと期待されます。本研究は、兵庫県立粒子線医療センター及び名古屋陽子線治療センターとの共同研究として行われました。
陽子線(左) 炭素線による空気の発光画像(右)
今回発見した、陽子線(左)と炭素線による空気の発光画像(右)。矢印部分が空気の発光

Seiichi Yamamoto, Toshiyuki Toshito, Takashi Akagi, Tomohiro Yamashita, Masataka Komori, Scintillation imaging of air during proton and carbon-ion beam irradiations, Nuclear Inst. and Methods in Physics Research-A, 833(11), 149-15, 2016
http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0168900216307343
2016年07月23日
 チェレンコフ光閾値より低いエネルギーの電子しか生じないX線の照射により、水が発光する現象の画像化に世界で初めて成功しました。この研究内容は,Nuclear Instruments and Methods in Physics Research-A 誌に掲載されました。
 最大エネルギーが120keVのX線を水に照射しても、生じる電子のエネルギーは、電子のチェレンコフ光閾値(260keV)以下であり、水が発光するとは、これまで考えられていませんでした。これまで私たちは、陽子線、炭素線、及びα線照射により水が発光する現象を発見し、それぞれ研究論文として発表しました。これらの研究結果から、X線でも同様な現象が観察される可能性があると考え、最大エネルギー120keVのX線を水に照射しながら高感度CCDカメラで撮像したところ、水の発光を確認し、また発光分布を明瞭に画像化することに成功しました。最大エネルギーが120keVのX線照射で水が発光するとは、科学的常識では考えらず、全く新しい発見です。私たちは、この発光はX線照射で水中に発生したラジカルに起因すると考えています。本研究成果は、簡便で精度の高いX線の線量測定に貢献するものと期待されます。
水の発光画像
今回、画像化に成功した最大エネルギーが120keVのX線照射によって生じた水の発光画像(オレンジの部分)

Seiichi Yamamoto, Shuji Koyama, Masataka Komori, Toshiyuki Toshito, Luminescence imaging of water during irradiation of X-ray photons lower energy than Cerenkov light threshold, Nuclear Inst. and Methods in Physics Research-A, 832(1), 264–270, 2016
http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0168900216306982
2016年06月18日
 粒子線治療に使われる炭素線の照射により、水が発光する現象の画像化に世界で初めて成功しました。この研究内容は,Medical Physics誌に掲載されました。
 粒子線治療に使われる炭素線により水が発光するとは、これまで考えられていませんでした。これまでの研究で陽子線照射により、水が発光する現象を発見し報告しましたが、今回、炭素線を水に照射しながら高感度冷却電子増倍CCDカメラで撮像したところ、炭素線によっても、水が発光することが分かり、発光分布を明確に画像化することができました。本研究成果は、簡便で精度の高い粒子線の精度管理に大きく貢献するものと期待されます。本研究は,兵庫県立粒子線医療センター、及び名古屋陽子線治療センターとの共同研究として行われました。
炭素線による水の発光画像
今回、画像化に成功した炭素線による水の発光画像(オレンジの部分)

Seiichi Yamamoto, Masataka Komori, Takashi Akagi, Tomohiro Yamashita, Shuji Koyama, Yuki Morishita, Eri Sekihara and Toshiyuki Toshito, Luminescence imaging of water during carbon-ion irradiation for range estimation, Med. Phys. 43, 2455-2463, 2016
http://scitation.aip.org/content/aapm/journal/medphys/43/5/10.1118/
1.4946821
2016年06月18日
 小型高分解能ガンマカメラと高感度CCDカメラを組み合わせた構造の、ガンマ線とチェレンコフ光を同時撮像可能な装置の開発に成功しました。この研究内容は,Nuclear Instruments and Methods in Physics Research Section A誌に掲載されました。
  I-131は甲状腺を対象とした放射性核種内用療法に用いられますが、ガンマ線のエネルギーが高いため、高分解能画像をガンマカメラで得ることが困難でした。一方で、I-131はベータ線を放出すため、チェレンコフ光を測定対象とした高分解能な光イメージングも期待できます。そこで新しいシンチレータであるGAGGを用いた高分解能高エネルギー用ガンマカメラを開発し、高感度CCDカメラと一体化することで、ガンマ線と、チェレンコフ光の同時測定を可能にした複合画像化装置を開発しました。この開発により、ガンマ線と、チェレンコフ光を、I-131核種に対して同時、同位置での画像化が可能となり、両イメージング法の長所と短所を明らかにすることができました。本研究は大阪大学の畑澤教授のグループとの共同研究として行われました。
複合画像化装置
今回開発したガンマ線とチェレンコフ光を同時撮像可能な複合画像化装置

 Seiichi Yamamoto, Mayumi Suzuki, Katsuhiko Kato, Tadashi Watabe, Hayato Ikeda, Yasukazu Kanai, Yoshimune Ogata, Jun Hatazawa, Development of gamma-photon/Cerenkov-light hybrid system for simultaneous imaging of I-131 radionuclide, Nuclear Instruments and Methods in Physics Research Section A830, 444–448, 2016
http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0168900216305897
2016年03月28日
 修了式、卒業式が行われました。和田さんと森下さんが博士課程を修了しました。また、安藤君、岡さん、小谷さん、中西君が卒業しました。みなさん、おめでとうございます。岡さんと小谷さんは就職し、中西君と安藤君は修士課程に進学します。
2016年03月28日
 α線の照射により、水が発光する現象の画像化に世界で初めて成功しました。この研究内容は,Nuclear Instruments and Methods in Physics Research Section A誌に掲載されました。
 α線は、空気中では窒素ガスをシンチレータとして発光することは報告されていましたが、水が発光するとは考えられていませんでした。これまでの研究で陽子線照射により、水が発光する現象を明らかにしてきましたが、今回、Am-241からのα線を純水に照射しながら高感度冷却電子増倍CCDカメラで撮像したところ、α線による水の発光を明確に画像化することができました。水の発光は空気の発光の4%程度と少なく、空間的な分布は0.25mm以下の精度で画像化できることも明らかにしました。本研究は,名古屋陽子線治療センターとの共同研究として行われました。
α線による水の発光画像
今回、画像化に成功したα線による水の発光画像(オレンジの部分)

 S. Yamamoto, M. Komori, S. Koyama, T. Toshito, Luminescence imaging of water during alpha particle irradiation, Nuclear Instruments and Methods in Physics Research Section A, 819(21), 6–13, 2016
http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0168900216300055
2016年03月28日
 LGSOシンチレータとシリコンフォトマル(Si-PM)を用いたフォスィッチ検出器の高精度時間分解能の評価に成功しました。この研究内容は,Nuclear Instruments and Methods in Physics Research Section A誌に掲載されました。
 Si-PMは応答が早く、飛行時間PET(TOF-PET)用の光検出器として注目されています。 これまでLGSOやLYSOと組み合わせTOF-PETの性能を向上させることが報告されていました。しかし、異なる発光減衰時間のシンチレータを組み合わせたフォスィッチ検出器に対する時間分解能の評価は報告されていませんでした。今回、LGSOで発光減衰時間の異なるシンチレータを深さ方向に積層し、Si-PMと組み合わせ、TOF-PETに十分使える300ps程度の時間分解能が得られることを実証しました。本研究は,韓国:高麗大学との共同研究として行われました。
 S. Yamamoto, T. Kobayashi, S. Okumura, J.Y. Yeom, Timing performance measurements of Si-PM-based LGSO phoswich detectors, Nuclear Instruments and Methods in Physics Research Section A, 821, 101–108, 2016 http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0168900216300729
2016年03月28日
 高分解能のガンマ線位置検出器には、小さなピクセルサイズのシンチレータが必要ですが、1㎜以下のサイズのシンチレータを2次元的に配置することは技術的に困難です。この問題点を解決するために、シンチレータに機械的にスリットを入れることで小さなシンチレータを並べたものを類似の性能を得る技術を早稲田大学の片岡教授のグループが開発しました。今回、この技術を用い、0.2㎜のスリットを入れたGAGGシンチレータを1インチの位置有感型光電子増倍管(PSPMT)に光学結合することで超高分解能の小型ガンマカメラを開発することに成功しました。122keVのガンマ線に対して、0.7㎜FWHMの固有空間分解能を得ることができ、また、ピンホールコリメータを装着し、マウスの高分解能画像も得ることができました。本研究は,早稲田大学の片岡研究室、及び大阪大学の畑澤教授のグループとの共同研究として行われました。
 S. Yamamoto, J. Kataoka, T. Oshima, Y. Ogata, T. Watabe, H. Ikeda, Y. Kanai, J. Hatazawa, Development of a high resolution gamma camera system using finely grooved GAGG scintillator, Nuclear Instruments and Methods in Physics Research Section A, 821(11), 28–33, 2016 http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0168900216300833
2015年11月24日
 山本教授が、日本核医学会、2015年久田賞、銀賞を受賞しました。この賞はAnnals of Nuclear Medicine誌に昨年掲載された論文の中から選ばれるものです。受賞論文は "Ultrahigh-resolution Cerenkov-light imaging system for positron radionuclides: potential applications and limitations"です。
2015年11月24日
 11月1日から米国サンディエゴで開かれたNuclear Science Symposium and Medical Imaging Conference (NSS & MIC)に研究室から4人が参加し、合計6演題(口頭:2件、ポスター:4件)を発表しました。
2015年11月24日
 陽子線照射により生じる微弱光画像から、陽子線の飛程を高精度で計測することに、名古屋陽子線治療センターと共同で成功し、その結果をMedical Physicsに発表しました。またこの研究成果は名古屋大学公報からプレスリリースされました。
http://www.nagoya-u.ac.jp/about-nu/public-
relations/researchinfo/upload_images/20151016_med.pdf

 名古屋陽子線治療センターの陽子線治療装置を用いて、陽子線ビームを水に照射した際に発生する微弱光を画像化し、陽子線飛程を高精度で計測することに成功しました(下図)。陽子線が水中で微弱光を発することを発見し、この光を高感度カメラで撮像することで陽子線が水に与える線量分布を画像化することに成功しました。また、撮像した画像から、陽子線の飛程を高い精度で評価することができました。今回の手法は、陽子線照射中に画像化が可能であり、かつ高分解能画像が得られることから、陽子線治療における線量評価や装置の精度管理に大きく貢献することが期待されます。
線量分布画像
今回の研究で得られた水に陽子線を照射したときの線量分布画像(オレンジ色の部分)

雑誌名:Medical Physics(メディカル・フィジックス)(米国医学物理専門誌)、論文名:" Luminescence imaging of water during proton-beam irradiation for range estimation " 著者:Seiichi Yamamoto, Toshiyuki Toshito, Satoshi Okumura, and Masataka Komori
http://scitation.aip.org/content/aapm/journal/medphys/42/11/10.1118/
1.4932630
2015年11月24日
 "Timing measurements of lutetium based scintillators combined with silicon photomultipliers for TOF-PET system "がJournal of Instrumentation誌に掲載されました。
 LuをベースにしたシンチレータにはLGSO、LYSOなどあり、またLGSOにはGa濃度の異なるものがあります。またLYSOは複数の企業が製品化しており性能に差があることが考えられます。シンチレータの性能は、(Time-of-flight: TOF)PET装置の性能に大きく影響するので重要ですが、それらの性能を比較し、どれがTOF-PETに最適かは評価されていませんでした。そこで2種のLGSOと2種のLYSOを高い時間分解能を達成可能なシリコンフォトマル(Si-PM)と組み合わせ,高速オシロスコープによる精度の高い時間分解能測定を行いました。その結果,LGSOの発光減衰時価の短い結晶が最も時間分解能が良いことが明らかになりました。本研究は,韓国:高麗大学との共同研究として行われました。
 S. Yamamoto , S. Okumura , N. Kato, J.Y. Yeom, Timing measurements of lutetium based scintillators combined with silicon photomultipliers for TOF-PET system, Journal of Instrumentation, 10(09):T09002-T09002, 2015
 http://iopscience.iop.org/article/10.1088/1748-0221/10/09/T09002/meta
2015年11月24日
 "Development of a prototype Open-close positron emission tomography system"がReview of Scientific Instruments誌に掲載されました。
 開発した小型PET装置は、検出器リングが中心部から半分に分かれ、開いたり(Openモード)、閉じたり(Closedモード)することが可能な機構を有するものです。開いた状態では、陽子線ビームを被検体に打ち込むことが可能となります(下図)。本研究は大阪大学の畑澤教授らのグループとの共同研究として行われました。
Closeモード(左) Openモード(右)
Open-Close-PET装置の写真:Closeモード(左)とOpenモード(右)

 Yamamoto S, Okumura S, Watabe T, Ikeda H, Kanai Y, Toshito T, Komori M, Ogata Y, Kato K, Hatazawa J. Development of a prototype Open-close positron emission tomography system. Rev. Sci. Instrum.;86(8):084301, 2015
http://scitation.aip.org/content/aip/journal/rsi/86/8/10.1063/1.4929329
2015年07月29日
 Stanford 大学のCraig S. Levin先生の学術講演会が7月29日(水)に理工学研究室で行われ「A PET camera that is penetrable by radio frequency pulses from an MRI system」というタイトルで最新の研究内容を紹介して頂きました。講演会の後,近くの鮨屋で,研究室のメンバーとの食事会が開かれ,楽しい時間を過ごしました。
 M2の奥村君が筆頭著者の論文,"Precise timing resolution measurements of GSO scintillators with different Ce concentrations combined with silicon photomultipliers"がNuclear Instruments and Methods in Physics Research Section A誌に掲載されました。この論文は奥村君が筆頭著者として発表したの2本目の論文になります。
 GSOシンチレータは比較的廉価なシンチレータですが,飛行時間情報を用いた (Time-of-flight:TOF)PET装置として使用可能かどうかはこれまで評価されていませんでした。そこでGSOシンチレータを高い時間分解能を達成可能なシリコンフォトマル(Si-PM)と組み合わせ,高速オシロスコープによる精度の高い時間分解能測定を行いました。その結果,GSOシンチレータを用いて500ピコ秒台の時間分解能が達成可能であることが分かりました。この時間分解能はTOF-PETとして使用可能な数値です。この成果は比較的廉価なGSOシンチレータを用いたTOF-PET装置の開発の可能性を示唆するものです。本研究は,韓国:高麗大学,日立化成との共同研究として行われました。
Satoshi Okumura, Seiichi Yamamoto, Jung Yeol Yeom, Naoaki Shimura, Hiroyuki Ishibashi, Precise timing resolution measurements of GSO scintillators with different Ce concentrations combined with silicon photomultipliers, Nuclear Instruments and Methods in Physics Research Section A, 797(11), pp.153–157, 2015
http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0168900215008104
2015年04月06日
 藤井君,鈴木さん、松岡君が卒業し,謝恩会が開かれました。3人ともいい研究成果をあげてくれました。3人とも就職しました。
2015年04月06日
 アルファ線,ベータ線,ガンマ線の分布を1台の放射線検出器で分けて画像化できる放射線イメージング装置の開発に成功しました。この研究内容は,Nuclear Instruments and Methods in Physics Research Section A誌に掲載されました。
 アルファ線,ベータ線,ガンマ線はそれぞれ放射線の性質が異なるため,これまで別々の放射線位置検出器で画像化する必要がありました。今回,発光減衰時間の異なる3種のシンチレータを積層し,波形解析することで,アルファ線,ベータ線,ガンマ線を分離してイメージングすることに成功しました。アルファ線はプラスチックシンチレータで,ベータ線とガンマ線はそれぞれ発光減衰時間の異なる2種類のGSOシンチレータで検出し,その発光を位置有感型光電子増倍管で検出し,重心計算することでアルファ線,ベータ線,ガンマ線の分布を別々の画像として得ることを可能にしました。新しいタイプの放射線イメージング装置として期待されます。
 S. Yamamoto, H. Ishibashi, Development of a three-layer phoswich alpha- beta- gamma imaging detector, Nuclear Instruments and Methods in Physics Research Section A, 785, pp.129–134, 2015
http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0168900215002806
2015年04月06日
 Medical physics誌に発表した論文:High resolution Cerenkov light imaging of induced positron distribution in proton therapyの研究内容が,O pulse E 3月号の"1枚の写真"の欄で紹介されました。
Medical physics誌に発表した論文
2015年02月16日
 Medical physics誌に発表した論文:High resolution Cerenkov light imaging of induced positron distribution in proton therapyの研究内容が,科学雑誌Newton(ニュートン)2月号,SCIENCE SENSORの欄で紹介されました。
2015年02月16日
光ファイバーを用いたSPECT/MRI用検出器の開発に世界で初めて成功しました。この研究内容は,IEEE Transactions on Nuclear Science誌に掲載されました。
 SPECT/MRIはセンサーにCZTなどの半導体検出器が使われることが多いですが,MRIとの相互影響が大きいという問題点がありました。本研究では,光ファイバーイメージガイドを光センサーとシンチレータブロックの間に配置することで,相互影響をほぼ無くすことに成功しました。またコリメータ材料にタングステン含有樹脂を用いることでも相互影響を減らしました。本研究は,大阪大学大学院医学系研究科との共同研究の成果です。
 Seiichi Yamamoto, Tadashi Watabe, Yasukazu Kanai, Hiroshi Watabe, and Jun Hatazawa, Development of an Optical Fiber-Based MR Compatible Gamma Camera for SPECT/MRI Systems, IEEE Transactions on Nuclear Science, vol. 62(1), pp. 76-81,   2015
 http://ieeexplore.ieee.org/stamp/stamp.jsp?arnumber=7027243
2015年02月16日
 博士課程2年の和田さんが筆頭著者の論文:Development of a Body Shield for Small Animal PET System to Reduce Random and Scatter CoincidenceがIEEE Transactions on Nuclear Science誌に掲載されました。
 小動物用PET装置においても,定量性の向上は重要な課題です。本研究は,定量性を劣化させる要因である散乱同時計数や偶発同時計数を小動物の頭部測定において減少させることを可能にするシールドに関するものです。
 Yasuhiro Wada, Seiichi Yamamoto, and Yasuyoshi Watanabe, Development of a Body Shield for Small Animal PET System to Reduce Random and Scatter Coincidences, IEEE Transactions on Nuclear Science, vol. 62(1), pp. 95-100, 2015
http://ieeexplore.ieee.org/stamp/stamp.jsp?arnumber=7027246
2015年02月16日
チェレンコフ光の検出により,放射性セシウムの分布を高分解能で画像化することに成功しました。この研究内容はNuclear Instruments and Methods in Physics Research-A誌に掲載されました。
 放射性セシウム(Cs-137とCs-134)は福島原子力発電所の事故により多量に放出された代表的な放射性核種で現状の放射能汚染の主な核種ですが,放出するガンマ線のエネルギーが高いため,分布を高分解能で得ることが困難でした。本研究では,放射性セシウムがベータ線を放出することに着目,ベータ線が物質中で放出する微弱なチェレンコフ光を高感度CCDカメラで画像化することで高分解能画像を得ることに世界で初めて成功しました。このイメージング法により,0.2mm程度の極めて高い空間分解能で放射性セシウムの分布を画像可能であることを明らかにしました。本研究は,日本原子力研究機構(高崎)との共同研究の成果です。
 Seiichi Yamamoto, Yoshimune Ogata, Naoki Kawachi, Nobuo Suzui, Yong-Gen Yin, Shu Fujimaki, Ultra-high resolution of radiocesium distribution detection based on Cherenkov light imaging, Nuclear Instruments and Methods in Physics Research Section A, vol. 777(21), pp. 102-109, 2015
http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0168900214015587
2015年02月16日
 修士課程1年の奥村君が筆頭著者の論文:Development of dual-layer GSO depth-of-interaction block detector using angled optical fiberがNuclear Instruments and Methods in Physics Research-A誌に掲載されました。
 小動物用PET装置においては,検出器リングが6角形や8角形になり,検出器ブロック間のギャップが大きく,アーチファクトが生じやすくなり,また再構成アルゴリズムが複雑になるという問題がありました。この問題点を解決するために,本研究では角度を有した光ファイバーでできたイメージガイドを検出器ブロックと位置有感型光電子増倍管の間に配置し,複数のシンチレータブロックを1個の位置有感型光電子増倍管に角度を持って配置することを可能にしました。この構成により,8個の位置有感型光電子増倍管を用いて,円形配置に近いシンチレータ配置を実現しました。
 Satoshi Okumura, Seiichi Yamamoto, Hiroshi Watabe, Natsuki Kato, Huka Hamamura, Development of dual-layer GSO depth-of-interaction block detector using angled optical fiber, Nuclear Instruments and Methods in Physics Research Section A, Available online 7 February 2015
http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0168900215001527
2014年11月28日
 IEEE Nuclear Science Symposium & Medical Imaging Conference (NSS & MIC)が米国シアトルで11月8日から15日まで開催されました。山本研究室からは9件の演題がアクセプトされ(口頭発表4件,ポスター発表5件),山本教授,D2:森下君,M2:小林君,M1:奥村君が参加し,無事にすべての発表を終えることができました。どの発表も多くの質問等があり大変好評でした。また参加した学生には,大変いい経験になったようです。
2014年11月04日
 陽子線ビームをファントムに照射した際に生成する陽電子の分布を,名古屋陽子線治療センターと共同で,高分解能で画像化することに成功し,研究内容をMedical Physics誌オンライン版に発表しました。

 陽電子が物質中を運動するときに,チェレンコフ光という微弱な光を放出することに着目し,この光を高感度CCDカメラで撮像することで0.7mmという極めて高い空間分解能で陽電子の分布を画像化することに世界で初めて成功しました。従来はこの画像化に陽電子放射型断層撮像法(PET)が用いられていましたが,空間分解能が比較的低いことやコストが高いという問題点がありました。今回の研究成果は,陽子線治療における線量評価や装置の精度管理に利用されることが期待されます。なお本研究成果は名古屋大学広報からもプレスリリースされました。

発表論文:S. Yamamoto, T. Toshito, K. Fujii, Y. Morishita, S. Okumura, M. Komori, High resolution Cerenkov light imaging of induced positron distribution in proton therapy. Med. Phys. 41, 111913, 2014
2014年10月06日
 山本研究室M1の奥村君が7th Korea-Japan Joint Meeting Medical Physicsで口頭発表した演題, "Development of a nearly circular-shaped PET system made of eight block detectors",がYoung Investigator Awardに選ばれました。授賞式では大会長から賞状と副賞が授与されました(9月12日)。おめでとうございます。
2014年10月06日
 PETとチェレンコフ光を同時に撮像可能な装置を世界で初めて実現しました。この研究内容はMedical Physicsに掲載されました。論文のタイトルは "Development of a PET/Cerenkov-light hybrid imaging system"です。
  新しい分子イメージング手法としてチェレンコフ光が注目されていましたが,その画像がPETと比較してどのような長所,短所があるのかは不明でした。本論文ではPETとチェレンコフ光を同時に撮像可能なPET/チェレンコフ光同時撮像装置を開発し,ポジトロン核種を同時撮像することにより,それぞれのモーダリティーの特徴を明らかにしました。この研究は昨年度の卒業生の濱村さんが卒業研究として主に行った内容です。また本研究は大阪大学の分子イメージングセンターとの共同研究の成果です。
 Yamamoto S, Hamamura F, Watabe T, Ikeda H, Kanai Y, Watabe H, Kato K, Ogata Y, Hatazawa J. Development of a PET/Cerenkov-light hybrid imaging system. Med Phys. 2014 Sep;41(9):092504. doi: 10.1118/1.4893535.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25186413
2014年10月06日
 新しいシンチレータGAGGで発光減衰時間の異なる2種類のものを用い,波形解析による深さ方向検出を可能にしたPET用検出器の開発に世界で初めて成功しました。この内容は,Nuclear Instruments and Methods in Physics Research-Aに掲載されました。
  GAGGシンチレータは発光量が多く,自然放射能を含まず,密度も比較的高いためPET用シンチレータの候補にあげられています。しかし,これまで波形解析を用いた深さ方向検出可能なPET用検出器は存在しませんでした。本研究では新たに開発された波形時間の遅いGAGGと従来のGAGGを組み合わせることにより波形解析による深さ方向の検出可能なPET用検出器を実現しました。本研究は,韓国Kumoh National Institute of Technology,古河機械金属,東北大学との国際共同研究の成果です。
 S. Yamamoto, T. Kobayashi, J.Y. Yeom, Y. Morishita, H. Sato, T. Endo, Y. Usuki, K. Kamada, A. Yoshikawa, Development of GAGG depth-of-interaction(DOI) block detectors based on pulse shape analysis, Nuclear Instruments and Methods in Physics Research A 767 (2014) 289?295
http://ac.els-cdn.com/S0168900214009930/1-s2.0-S0168900214009930-
main.pdf?_tid=68cc243c-4850-11e4-ba9b-00000aab0f26&acdnat=
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2014年10月06日
 ポジトロン核種のチェレンコフ光イメージが220μmと非常に高分解能であることを世界で初めて明らかにしました。本研究内容はAnnals of Nuclear Medicine電子版に掲載されました。
  新しい分子イメージング手法としてチェレンコフ光が注目されていますが,その画像の空間分解能がどの程度であるのかは不明でした。本論文では100μmのサイズのポジトロン核種の粒子を作成し,チェレンコフ光の空間分解能の評価に成功しました。またチェレンコフ光イメージングを小動物のex-vivoイメージングに応用した場合の長所,短所なども明らかにしました。本研究は大阪大学分子イメージングセンターとの共同研究の成果です。
 Yamamoto S, Watabe T, Ikeda H, Kanai Y, Watabe H, Ogata Y, Kato K, Hatazawa J. Ultrahigh-resolution Cerenkov-light imaging system for positron radionuclides: potential applications and limitations. Ann Nucl Med. 2014 Aug 8.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25103137
2014年10月06日
 α線検出器として適切なシンチレータの選択に関する論文が,Nuclear Instruments and Methods in Physics Research-Aに掲載されました。α線検出器として最適なシンチレータを光電子増倍管とシリコンフォトマル(Si-PM)それぞれに対して明らかにするために,エネルギー分解能等の評価を行った内容です。筆頭著者の森下君は山本研究室D2の学生で,博士後期課程で2本目の筆頭著者論文になります。本研究は北海道大学との共同研究の成果です。
  Y. Morishita, S. Yamamoto, K. Izaki, J. H. Kaneko, K. Toui, Y. Tsubota, M. Higuchi, Performance comparison of scintillators for alpha particle detectors, Nuclear Instruments and Methods in Physics Research Volume 764, 11 November 2014, Pages 383?386
2014年10月06日
研究業績を更新しました。
2014年05月15日
 東北大学未来科学技術共同研究センター准教授 鎌田圭先生の講演が5月8日(木)に当研究室で行われました。GAGGやGPSなどの新しいシンチレータの開発について最新の研究成果を大変分かりやすく講演頂きました。今後も山本研究室と共同研究を進めていく予定です。
2014年04月21日
 放射性セシウムサンプルを高感度,低バックグランドで測定可能な井戸型検出器に関する論文: A compact and high efficiency GAGG well counter for radiocesium concentration measurementsをNuclear Instruments and Methods in Physics Research Section A 誌オンライン版に発表しました。
従来,放射性セシウムを含む食品サンプルの放射能測定においては,放射性セシウムからの高エネルギーガンマ線(例えば662keV)を検出することが多かったのですが,検出効率が低くなり,また環境放射線に対する遮蔽が厚くなる問題点がありました。
本研究開発においては放射性セシウムが放出するX線(~32keV)を検出することでこれらの問題点の多くを解決しました。S. Yamamoto and Y. Ogata, A compact and high efficiency GAGG well counter for radiocesium concentration measurements. Nuclear Instruments and Methods in Physics Research Section A , 2014 (in-press) 
http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0168900214003246
2014年04月17日
 Stanford University, Molecular Imaging Program, Craig Levin教授の講演が4月10日に本研究室で行われました。分子イメージングに関する深い内容を分かりやすく,インターアクティブに講義して頂き,学生たちにも大変いい刺激になったようです。前日には近くの居酒屋で研究室メンバーと懇親会も開催しました。
2014年04月03日
加藤さん,濱村さん,奥村君が卒業しました。皆さん卒業研究で大変いい研究成果を上げてくれました。加藤さんと濱村さんは就職し,奥村君は本学博士課程前期に進学しました。
2014年03月13日
 Stanford University, Molecular Imaging Program, Craig Levin教授の講演が本研究室で行われます。
日時:2014年4月10日(木)午後2時から、場所:本館3階理工学研究室
発表タイトル:Molecular Imaging Modalities
本講演では、分子イメージング機器に関する内容を分かりやすくインフォーマルな形式で講演してもらいます。Craig Levin教授は世界を代表する分子イメージング機器研究者であり、種々の分子イメージング機器の原理から応用、さらに最新の開発動向を紹介いただけると思います。
2014年03月13日
 博士課程後期1年(D1)森下君が筆頭著者の論文:Development of a Si-PM based alpha camera for plutonium detection in nuclear fuel facilitiesがNuclear Instruments and Methods in Physics Research Section A 誌に掲載されました。
Si-PMは利得の大きな半導体光センサーとしてPETへの応用が期待されていますが、アルファ線イメージングへの応用に関してはこれまで検討されていませんでした。本研究では0.1mm厚のGAGG結晶をSi-PMアレーに光学結合することで高分解能アルファ線イメージング装置が実現出ることを世界で初めて実証しました。今後プルトニウム汚染の検出などの応用が期待されます。なお本研究は名古屋大学と北海道大学、日本原子力研究機構との共同研究の成果です。
Y. Morishita, S. Yamamoto, K. Izaki, J. H. Kaneko, K. Toui, and Y. Tsubota. Development of a Si-PM based alpha camera for plutonium detection in nuclear fuel facilities. Nuclear Instruments and Methods in Physics Research Section A , 2014 (in-press)
http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0168900214000023
2014年03月13日
 3層の深さ方向弁別可能な(Depth-of-interaction: DOI)ピンホール型高エネルギーガンマカメラ開発に関する論文:Three-layer GSO depth-of-interaction detector for high-energy gamma camera. をNuclear Instruments and Methods in Physics Research Section A 誌に発表しました。
従来はDOI検出器をSPECT用検出器に使うことはありませんでしたが、高エネルギーピンホールコリメータでは視野周辺部で斜めにガンマ線が入射するために空間分解能が劣化することが起こります。本論文では波形解析を用いたDOI検出器を高エネルギーガンマカメラに応用することで空間分解能お性能を向上できることを実証しました。
S. Yamamoto, H. Watabe, N. Kawachi, S. Fujimaki, K. Kato, J. Hatazawa. Three-layer GSO depth-of-interaction detector for high-energy gamma camera. Nuclear Instruments and Methods in Physics Research Section A , Vol. 743, 11, 124–129, 2014、
http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0168900214000199
2014年03月13日
 超高分解能ガンマカメラの開発に関する論文:Development of a high-resolution YSO gamma camera system that employs 0.8-mm pixelsが、Annals of Nuclear Medicine誌、電子版に掲載されました。
YSOシンチレータは発光量が多く、潮解性がないため、細かいピクセル状のシンチレータブロックを作成しやすい利点があります。今回、8mm幅というこれまでにない細かいYSOピクセルで構成されたブロックを位置有感型光電子増倍管(PSPMT)に光学結合した構造のガンマカメラを開発し、高分解能を得ることに成功しました。今後、SPECT装置の小型化や動物用SPECT装置への展開が期待されます。
Yamamoto S, Watabe H, Kanai Y, Kato K, Hatazawa J. Development of a high-resolution YSO gamma camera system that employs 0.8-mm pixels. Ann Nucl Med. 2014(in-press)
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24442533
2014年02月06日
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